第7節「歌姫の帰還」
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とも、喧嘩はダメよ〜?あんまり熱くならないのっ」
いつになく強い語調で、奏に向かい合う弦十朗。
歯を食いしばって視線を交わす二人の間に、了子が割って入る。
「奏ちゃん、本当は分かってるはずでしょ?」
「分かってるさ……でも、黙って見てられるかよッ!」
了子に窘められ、奏は俯きながら拳を震わせる。
「……メディカルチェックの結果が思った以上によくないのは知ってるデスよ。それでも──」
「その気持ちだけで十分だ」
「こんなことで仲間を失うのは、二度とごめんだからな」
「……」
翼から向けられた視線に、奏は握った拳をゆっくりと離す。
翼と弦十朗の脳裏に浮かんだ光景が何であるか……他でもない奏自身が、よく分かっていた。
ff
その頃、キャロルの居城ではもう一機の自動人形が動き出そうとしていた。
「いっきま〜すッ!ちゅっ♪」
玉座のキャロルと、四隅の台座でポーズを決めながら直立するレイアとファラ。
彼女らに見守られる中、ガリィは赤髪を縦ロールにした少女の姿をしたオートスコアラーへと、口移しで“想い出”を供給する。
すると、赤髪のオートスコアラーの瞳が怪しく発光する。
次の瞬間、それは生命を与えられたかのように、台座へとへたりこんだ。
「……はぅぅぅぅぅぅ……」
赤髪のオートスコアラーは、腕を少し上げてはだらりと下げ、立ち上がろうとしては、まただらりとへたりこむ。
まるで、初心者が操り手となったマリオネットのようだ。
「最大戦力となるミカを動かすだけの想い出を集めるのは、存外時間がかかったようですね」
「いやですよ〜、ノエルちゃん。これでもガンバったんですよ。なるべく目立たずにコトを進めるのは大変だったんですから〜」
「……」
「まぁ、いいだろう。これで終末の四騎士は全機起動、計画を次の階梯に進めることができる」
玉座の肘掛けに腰掛けるキャロルに瓜二つの青年、ノエルは一瞬眉をヒクッとさせたが、キャロルの言葉を遮らぬように受け流す。
仕事を終えたガリィは自分の台座へと戻ると、バレリーナのようなポーズで直立した。
「はぅ……はぅぅぅぅぅぅ……」
だが、先程からミカが可愛らしい声で唸るばかりで、中々立ち上がらない。
「どうした、ミカ?」
キャロルの質問に、ミカは力の抜けた声で答えた。
「……お腹がすいて、動けないゾ……」
「……ガリィ」
「……あー、はいはい。ガリィのお仕事ですよね……」
彼女ら終末の四騎士のパワーソースである“想い出”。見聞によって人間の脳に蓄積される、脳内の電気信号。即ち記憶を消費して、彼女達は強力な錬金術を行使している。
4機にはそれぞれ、ア
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