第7節「歌姫の帰還」
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ェルトは司法取引を受け入れ、黒服たちによる情報操作によって今の立場に置かれている。壁に囲まれた監房の中に比べれば、遥かにマシな環境だ。
それでも……そんな事が私の戦いであるものかッ!
屈するものか。こんな理不尽を受け入れるような、弱い私にはもう戻らないッ!
私は必ず自由になる……ツェルトと2人で、あの子達と共に暮らす未来を掴み取ってみせるッ!!
ff
『完全敗北。いいえ、状況はもっと悪いかもしれません……』
襲撃者、ファラの撤退から暫くして経った頃。
スコットランドヤードによって封鎖された現場では、翼がヒビの入ったギアペンダントを手に、S.O.N.G.への報告を行っていた。
クリスと同様、ギアを装着する直前まで着ていた衣服が戻っておらず、マリアの衣装から外したヴェールを胸と腰に巻いている状態である。
『ギアの解除に伴って、身に付けていた衣服が元に戻っていないのは──』
「コンバーターの損壊による機能不全……そう見て間違いないようね」
『まさか翼のシンフォギアも……?』
『……絶刀・天羽々斬が手折られたという事だ』
翼の天羽々斬と、クリスのイチイバル。この戦闘で、一度に2つのシンフォギアが破損した。
その事実は、装者である翼たちにとっても、S.O.N.G.に所属する者たちにとっても、深刻で由々しき事態であった。
「すぐに修理に取り掛かるわ」
「了子さん、あたしに出来ることは?」
「機材の搬入、手伝ってもらえるかしら?今回は、いつもメンテに使ってる分だけじゃ足りないの」
「分かった、すぐにでも運んでくるッ!」
破損したギアの修復に取りかかるべく、了子と奏は発令所から退室していく。
純の方からも先程、調、切歌と共にアドルフ博士と合流し、彼のワゴンで港へ向かっているとの連絡も入ったため、到着まではあまりかからないだろう。
「響くんの回収はどうなっている?」
『こちら翔、なんとか無事です……』
噂をすれば何とやら。翔と響も、春谷の車で本部へと戻ってくる所らしい。
『……ごめんなさい。わたしがキャロルちゃんと、きちんと話が出来ていれば……』
「話……だと?」
響からの謝罪と沈んだ声に、弦十朗は話が読めず、首を傾げるのだった。
ff
危険色のテープの向こう側に押し寄せる、野次馬の群衆。
その喧騒さえも聞こえない、現場の中心地。
そこへ現れた数台の黒い車両は、ブレーキ音を響かながら、翼と共に並ぶマリアを取り囲んだ。
現れた黒服達は一斉に、マリアへと銃口を向ける。
「状況報告は聞いている。だが、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、君の行動制限は解除されていない──これ以上の勝手は認められない」
「野郎ッ!その銃を下ろしやがれッ!」
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