暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第94話:戻る者と離れる者
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――」





 楽しいからに決まってるじゃないか!




 心底楽しそうに笑うグレムリンの笑い声に、メデューサもウェル博士も顔を顰めずにはいられなかった。




***




 その頃、殆どの人が出払ったエアキャリアの操縦室に奏は居た。

 彼女は操縦室にある椅子の一つに腰掛け、虚空をひたすらに見つめていた。

 その姿はまるで抜け殻と言う表現が最も相応しい。彼女をよく知る者であれば信じられない、生気を感じさせない光の無い目。

 何故彼女がここに居るかと言えば、それはグレムリンがここに連れてきたからだ。

 遡る事先程の戦闘時…………

 1人メイジとノイズ相手に奮闘していた奏の前に、グレムリンは姿を現した。クリスと透に襲い掛かる少し前の話だ。
 最初目前に現れたグレムリンに、奏は警戒心を露わにした。

 しかし――――――

『助けたいんだろう? 彼を……』

 その一言が呟かれた瞬間、奏は放心状態となった。両腕をだらりと下げ、光の無い目で虚空を見つめる奏に、グレムリンはそっと近付き耳元で囁く。

『おいで……僕が君を手助けしてあげるよ……』

 グレムリンの囁きに奏はゆっくりと頷いた。それを見てグレムリンは口を三日月形に歪めて嗤う。

『それじゃ、後で迎えに来るから待っててよ。もし君に近付く人が居たら、容赦なく殺していいからさ』

 そうして奏は、不用意に近づいてきた翼に攻撃を加えて倒したのであった。

 その事に対して、奏が後悔している様子は見られない。
 それどころか、今の奏の中に翼は存在しなかった。今の奏が考えている事はただ一つ。

「颯人…………ぜったい……助ける、から…………」

 誰も居ないエアキャリアの操縦室内に、奏の呟きが静かに響くのだった。
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