第三章
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茶色の髪の毛をロングにした楚々とした感じの女の子の母親と思われるロングスカートとブラウスの女性がいた。その二人に最初に反応したのは修太朗だったが。
百合香は二人を見て言った。
「ご連絡があった」
「はい、田村と申します」
母親と思われる女性が応えた。
「昨日お電話させて頂いた」
「そうですか、では」
「見せて下さいますか」
「はい、それでは」
話はとんとん拍子に進んでだった。
母娘は修太朗達に家の中に案内されて家の庭にいるコロと会うと。
「キャンキャン!」
「ベル、ベルよね!」
「キャンキャン!」
「よかった、無事だったのね」
女の子は自分に駆け寄った彼を抱き締めた、母親はその様子を見つつそのうえで三人に話した。
「実はお散歩の時リードが外れて」
「脱走してですか」
「迷子になりまして」
こう颯太に話した。
「それでずっと探していたんですが」
「そうだったんですか」
「ですが動物病院にお願いしてネットでも探していて」
「それで、ですね」
「一昨日動物病院から連絡を受けて」
そしてというのだ。
「昨日でした」
「はい、連絡してくれましたね」
今度は百合香が応えた。
「それで、でしたね」
「今日です」
「いらしてくれて」
「よかったです」
母も喜んでいる顔だった。
「まことに」
「そうでしたか、では」
「はい、これからです」
「コロちゃん、いえベルちゃんをですね」
「引き取らせて頂きます」
「それでは」
「もう脱走なんかするなよ」
修太朗は女の子に抱き締められながら尻尾をぱたぱたと振っている彼に優しい笑顔を向けてそうして声をかけた。
「いいな」
「ワンワン」
彼は修太朗のその言葉に頷く様に鳴いて応えた、そして。
彼は母娘に連れられて帰って行った、その彼等を見送ってからだった。
颯太は百合香と修太朗に話した。
「よかったね」
「そうね、無事に飼い主さんが見付かって」
「再開出来てな」
二人は颯太に笑顔で応えた。
「よかったな」
「そうよね」
「ただな」
ここで修太朗は残念そうにこうも言った。
「俺あの子飼いたかったな」
「若し飼い主さんが見付からなかったら」
「その時はな」
こう言うのだった。
「そのつもりだったけれどな」
「仕方ないよ」
今度は颯太が修太朗に言った。
「飼い主の人がおられたんだから」
「そうだよな」
「だからね」
「納得しろっていうんだな」
「よかったってね」
「そうだな、あいつのことを思うとな」
それならとだ、修太朗は颯太の言葉に頷いた。
「その通りだな」
「そうだよ、じゃあね」
「ああ、あいつの幸せを喜ぶな」
修太朗は笑顔になった、そうして颯太と百合香の三人
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