第十七話 裏側のことその九
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「あそこはな」
「共産主義じゃなくて」
「封建主義にしか思えないからな」
「そう言うのね」
「そうだよ、それでも企業の活動はな」
共産主義国家だからだというのだ。
「出来ないし日本との国交もないんだぞ」
「だから直接行けないのよね」
「船に乗ったり中国からは行けるがな」
「船ね」
「そうだ、言っておくがその船に乗ってな」
父は咲に真顔で話した。
「生きて帰れなかった人が大勢いるんだ」
「帰国事業?」
「そうだ、それで北朝鮮に帰ってな」
この事業は実際にあった、そして多くの人が北朝鮮に渡ってそして生き地獄の中で死んだのだ。生きて帰った者は一人もいない。
「もうわかるな」
「あんな国に行ったら」
どうかとだ、咲も応えた。
「もうね」
「そういうことだ」
「わかりやすいわね」
「その話お母さんも知ってるわよ」
母も娘にこの話について言ってきた。
「本当にね」
「生きて帰った人はいないのね」
「そうよ、そして帰国すれば地上の楽園と言った人は」
多くの知識人や政治家、マスコミが関係している。
「一人も責任取ってないわよ」
「えっ、大勢の人が生きて帰っていないのに」
「そうよ」
実際にというのだ。
「誰もね」
「責任取っていないのね」
「これも現実よ」
「酷い話ね」
「このことも酷いでしょ」
「ペットのお話も酷いけれど」
それと同じだけとだ、咲は言った。
「充分以上にね」
「そうでしょ、このことも覚えておいて」
「ペットのことも餓鬼で」
咲は両親との先程の会話を思い出しつつ言った。
「帰国事業のこともね」
「餓鬼でしょ」
「悪魔って言っていいかも」
こうもだ、咲は言った。
「餓鬼って言うか」
「帰国事業のことね」
「ペットのこともね」
これは帰国事業の話を聞いて最初に思いそれからペットのことが頭の中で結びついて思ったことだ。
「もうね」
「悪魔ね、そうかも知れないわね」
母も真顔で否定しなかった。
「こんなことをして責任取ってなくてそれどころか色々他の人達に言ってるの」
「偉そうに?」
「そう、あれこれとね」
「そんなことして言うのね」
「他の人にね」
「キリスト教の悪魔って神様に敵対しているだけで」
これはゲームで得た知識だ、そして漫画や小説でも学んだ。
「私から見ればね」
「悪くはないでしょ」
「けれどそうした人達はね」
「本物の悪ね」
「そうでしょ」
「ええ、悪は何かを考えたら」
それはとだ、母も答えた。
「そうした人達こそがね」
「悪でしょ」
「ええ」
娘のその言葉に頷いた。
「そう思うわ」
「そうだ、こうした連中はな」
まさにとだ、父も言った。
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