第2部
テドン
船室にて
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! もう少し異性との距離感を考えろ!! 」
「??」
急に意味不明なことを言いだしたので、これ以上どうすることができなかった。 結局無理強いしても、ユウリの熱が上がるだけだと判断した私は、諦めて部屋に戻ることにした。
「……ごめん。けど、なんかあったら言ってね。 部屋にいるから」
扉の前でそう伝えるが、ユウリからの返事はない。 仕方なく私は彼の部屋をあとにすることにしたのだった。
それから、どれくらい経っただろうか。 ベッドに横になってるうちに、いつの間にか寝てしまったらしい。
陸での移動とは違い、目的地まで自分の足で歩くことがないのはいいのだが、その分やることがないと退屈で仕方ない。 今までの道のりを考えたら随分贅沢な悩みなのだが、そういう立場にならないとわからない悩みもあることを痛感していた。
船窓を覗くと、日が傾いているのか、すでに空は薄暗くなっていた。 未だ雲間から日差しは見えず、遠くに広がっている黒雲が、今にもこの船を覆い尽くそうと、虎視眈々と狙っているように見える。
依然として波は荒れているが、ネクロゴンドに近づいたときよりは幾分マシになってきた。
もうすぐ夕飯だろうか。 半日寝ていたので、空腹感は最高潮に達していた。
ちなみに食事は時間によって決まっており、料理長が呼びにくるわけではなく、食堂で食べることになっている。 私たちと船員では食事の時間が違うため、はち会うことはない。
そういえば、ユウリはちゃんとご飯を食べたのだろうか?
なんとなく彼の部屋に入るのがためらわれるので、部屋を出てから一旦食堂に向かうことにした。 今から食事を作り始めるのか、厨房では料理長が調理の準備をしていた。
「あっ、ミオさん! ユウリさんの具合は大丈夫ですか? 」
「いや、まだ様子は見てなくて……」
「そうですか。 実は、先ほどミオさんがおっしゃっていた、消化のよい食べ物を作ったんです。実はお昼過ぎにもユウリさんの部屋の前に食事を持って行きまして、あとで様子を見たらどうやら食べてくれたらしく、食器が空になって置いてありました。 私は今から夕食の支度があって手が離せないので、もしよければミオさんに持っていっていただこうと思いまして……。 厚かましいとは思いますが、頼んでもよろしいですか? 」
願ってもない申し出に、私は快諾した。
「わかりました! わざわざありがとうございます」
私は料理長にお礼をいうと、ユウリのもとへ運ぶ食事を受け取り、すぐさま彼の部屋へと向かった。
これで彼の部屋に入る口実が出来た。 さすがに食事を持ってくる人間に無下に追い返すなんてことはしないだろう。
今朝と同じように声をかけてノックをし、反応をうかがう。 何も返事はないが、ひょっとしたら寝ているのかもしれない
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