42 最上級生(ろくねんせい)
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女子が喚く。
「もう許さないわ!」
さきこが理子と言う女子の頬を再びビンタし、よし子も茉友の頭を平手打ちした。
「小山君、根岸君、貴方達も好きにやっていいわよ!」
さきこが小山と根岸に促す。
「う、やめてくれ!!」
「じゃあ、この子達に謝りなさい!そしてもう二度とこんなことしない事!」
「分かったよ、悪かったな!茉友、行くぞ!」
二人組の上級生は走って去った。さきこは取り上げた本をリリィに返した。
「ありがとうございます・・・」
まる子、たまえ、山根が安堵して入ってきた。まる子が落ち着きの声をあげる。
「はあ、よかった〜」
「さくらのお姉さんたち、助けてくれてありがとうございます」
「いいのよ、藤木君達、大丈夫?」
「あ、はい・・・」
藤木は照れながら礼をした。
「君たち怪我をしているじゃないか!」
根岸が驚いた。
「とにかく、私の家に来て!」
さきこが三人を誘った。
「でも私ピアノがあるので、遅刻してるしもう行かないと・・・、本当にありがとうございました!」
笹山は慌てて言って、その場を去った。しかし、痛みがあって上手く走れなかった。
「笹山さん、無理しないで、私が付き添うよ!」
たまえが心配そうに言った。
「穂波さん、ありがとう」
笹山はたまえに支えられて去った。リリィがはっと思い出す。
「そうだ、昨日あの人たちに笹山さんの雑誌を身代わりにして逃げて、その後捨てられたんだった、笹山さんの雑誌を弁償しないと・・・」
「ああ、僕が半分出すよ」
藤木が安心させようとしていった。
「二人だけじゃ大変でしょ?私も出してあげるわ」
さきこが優しく言った。
「私も出すわよ」
「俺も出すよ」
「俺も!」
さきこの友達も親切に言ってくれた。
「あ、ありがとうございます・・・」
リリィは自分を助けてくれ六年生達に深く感謝した。
笹山はたまえに連れられて帰宅の道を急ぐ。
「穂波さん、ごめんね、迷惑かけて・・・」
「いいよ、気にしないで」
そして笹山の家に辿り着いた。
「た、只今・・・」
「かず子、遅いじゃない!!・・・あら?」
笹山の母は帰宅が遅い上にピアノ教室に遅刻している娘を叱責しようとしたが、怪我だらけの姿を見て表情を変えた。
「笹山さんは、その、上級生の女子に絡まれて怪我したんです!」
たまえが弁解した。
「そうだったの・・・。穂波さん、ありがとう」
笹山の母はたまえに礼をした。結局、怪我の手当ての為、ピアノの稽古は休む羽目となり、手当てが済むとたまえも帰って行った。
(リリィさんの本、守れてよかった・・・)
笹山は安堵した。しかし、自分が買った雑誌を手放した事は悔やんでも仕方がない。
(誰かに借りるしかないわね・・・)
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