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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第11話:怪盗のライダー
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そんな二人の様子を見て、何かを察した夏海は士に尋ねる。
「士君、もしかしてあの二人って……」
「さてな、今はそっとしておいてやれ」
「仲がいいもんね、二人とも」
ユウスケはうんうんと頷きながら、小狼とサクラの二人のやり取りを見守る。
……小狼とサクラの仲が思った以上に深いことに。
彼らのやり取りを見ている三人の傍らで、黒鋼は変身音叉を見ながら呟いた。
「しっかし、仮面ライダーってのはすごい力だな。変身して分かった」
「そうだねぇ。戦えないオレとしてはありがたい助っ人だよ」
「はん、何が戦えないだ……あんなに圧倒していたじゃねえか」
「今回上手くいっただけだよ」
ファイはそう言いながら、黒鋼の追求を笑顔で誤魔化す。
黒鋼はいつもの彼の対応に眉を顰めるが、ファイは別の話題に差し替えるように思い出す。
「そういえば、海東とかいう人だっけ。妙な事を言っていたね」
「あん?何をだ?」
「お宝の事か?アイツにとってはいつもの事だろ」
士はやれやれといった表情でそう答える。
実際、海東はここに来る前の世界では様々なお宝を狙っていた。
ファイズギア、G4チップ、デンライナー、カブトゼクターといった特別な力を持った物を"価値のあるもの"として盗もうとしていた。
ファイは士と夏海に対して"海東が放った言葉"を聞き返す。
「彼、『この世界で一番のお宝を手にれる』って言ってたよね」
「ああ、そうだ」
「ええ、海東さん確かにそう言ってました」
「モコナが言うにはどうやらこの世界にはサクラちゃんの羽根が存在するんだよね」
「おい、まさか……」
ファイの語った話に黒鋼はとある結論にたどり着いた。
それは、今は話を聞いていない小狼とサクラにとっては丁度聞かないでよく、しかし決してよくない『答え』だった。
「―――もしかしたら、海東大樹はサクラちゃんの羽根を狙っている可能性もあるってこと」
―――小狼達の仮面ライダーとして初めての戦いは無事に終わった
―――だが、この世界での戦いは激しさを増す予感がしていた
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