暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
魔槍ルーラ
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 だが、スイムスイムに反応はない。
 ただ、茫然とその長槍を見下ろしていた。

「モノクマ……! お前、一体何を……」
『うぷぷ。だって、アヴェンジャーはこんなチンケなナイフで戦っているんだよ? 可哀そうじゃない?』

 モノクマは、頭上でスイムスイムのナイフを乗せ、弾ませながら言う。

『こんな願いのために健気な女の子に、ハンデを背負わせるのは、運営としてはねえ?』
「ルーラ……」

 だが、肝心のスイムスイムは、ウィザードとモノクマの声に耳を貸さない。

「ルーラ……」

 自らの世界に没頭したスイムスイムは、長槍に頬ずりする。
 何度も何度も。頬を赤らめて、あたかも再開した母親に甘える子供のように。

「ルーラ……ルーラ……よかった」

 やがてスイムスイムは、そう言って両手の長槍をウィザードへ向けた。

「私はこれで、お姫様になる」
「お姫様って……それが君の願い?」

 その問に、彼女は頷いた。

「だから……やっつける」

 スイムスイムの敵意に、ウィザードは警戒を向ける。
 その時。

「ハルト!」

 その声は、鏡から。
 突如として、窓から現れた赤い仮面が、ウィザードとスイムスイムの間に飛んできた。
 赤い鉄仮面。それが自らのサーヴァント、ライダーであり、城戸真司の変身した姿であることをウィザードは知っている。

「真司!? どうしてここに!?」
「日菜ちゃんに頼まれて来た。お前は?」
「紗夜さんに付けていたユニコーンが知らせてくれたんだ」

 龍騎は、ウィザードの隣に並ぶ。
 スイムスイムは、手に戻った得物で、ウィザードと龍騎の二人を順に指す。

「二対一……」
「なあ、ハルト」
「うん。言わなくても何となくわかる」

 ハルトの言葉にうなずく。

「男が女の子一人を相手にするって、すっごくやり辛いね」
「ああ」

 だが、抵抗を感じるこちらとは逆に、水を得た魚同然のスイムスイムは、容赦なく攻め立ててくる。
 連撃、斬撃。攻撃に次ぐ攻撃は、ウィザードと龍騎を防戦一方に追い込んでいく。



「ほう……」

 その戦いを、トレギアは静かに見守っていた。
 ライダーのマスターとサーヴァント。彼らが、アヴェンジャーのサーヴァントと戦っている。
 無論、彼らは自らの視線に気付いていない。大きな見滝原ドームの倉庫。その上のフロアの踊り場から、静かにトレギアは眺めていた。

「さて。どうしてくれようか……?」

 トレギアは、顎に手を当てた。
 だが、その思考時間は長くはない。思考よりも先に、体が移動を選んだ。
 飛び退くと同時に、トレギアがいた足場を、黒い光線が破壊する。粉々になったコンクリートを見つめ、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ