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レーヴァティン
第二百十五話 渡河その五

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「あれこれ孔明さんに言ってな」
「その中であったかな」
「結構口だけの感じだったけれどな」 
 馬謖という者はというのだ。
「けれどこの言葉はな」
「事実だね」
「実際な」 
 この世界でこれまで戦ってきてわかったことだ。
「敵の心理を攻めるってな」
「大軍を見せてもそうだね」
「もう勝てないと思わせて降らせる」
「戦う前にね」
「これだってな」
 帝国が常に今も行っているこの戦略もというのだ。
「やっぱりな」
「心理戦だよ」
「そうなんだよな」
「だからね」
「今回もな」
「心も攻めていくね」
「追い詰めて焦らせて疲れさせる」
 心理的にというのだ。
「そうしていくな」
「そうして決戦を挑んだら」
「楽だからな」
「相手が疲れてるとね」
「精神的に疲れているとな」
 それならというのだ。
「身体もな」
「動けないからね」
「人間には精神があるんだ」
 それ故にというのだ。
「だからな」
「心が疲れてるとね」
「身体もな」
 こちらもというのだ。
「動きが悪くなる」
「そこを狙うんだね」
「ああ、だからな」
「それでだね」
「このままな」
 まさにというのだ。
「疲れさせるな、色々デマもな」
「今回もだね」
「何かと流すな」
 そうしたことも行うというのだ。
「何処の諸侯が寝返った、帝国とつながっている」
「そうした話を流して」
「惑わしもしてな」
「そこからも疲れさせるね」
「ああ、やっぱり戦はあれだな」
 久志は笑ってこうも言った。
「城や軍勢を攻めるんじゃなくてな」
「人を攻めるものだね」
「人の心をな」
 それをというのだ、久志はこのことをこの世界の戦で知ったのだ。経験によって知ったことの一つである。
「そうしていくものだな」
「そうだよね」
「戦意を落とす」
 敵のそれをというのだ。
「そして出来るだけな」
「戦わずしてね」
「勝つものだよ」
 まさにというのだ。
「孫子は正しいぜ」
「百戦百勝は最善でなし」
「どっかの国の将軍様みたいにな」
 久志も他の者達も思い出した人物がいた、その人物は。
 黒い服を着て刈り上げの懐かしの黒電話を思わせる髪型の人物を思い出した、実によく太っている。目の部分にはモザイクがかかっている。
「百戦百勝とか言うとな」
「その時点で、でござる」
 進太も言ってきた。
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