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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
エピローグ
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内のテレビの電源を入れた清明の後ろから、なんだなんだと内心話が逸れたことにほっとしながら全員で画面を覗き込む。だが次の瞬間、そんな弛緩した空気は吹き飛んだ。

『えー、こちらは事件現場、数日前に逮捕された凶悪犯罪者……デュエルモンスターズを介したテロ行為における重要参考人である七宝寺守氏、及び巴光太郎氏の護送車で発生した爆発事件の付近まで来ております!この両名はかつてプロデュエリストとしても活動しており、キャッ!?』

 黒煙を上げる力尽きた護送車を遠巻きに、画面越しにでも伝わってくる現地の混乱。そして唐突に吹いた台風もかくやというような豪風を浴び、手にしたマイクに必死に叫ぶレポーターの短い悲鳴。

「糸巻さん!なんでこんな大事な時に有休なんてとってんすか!?俺も糸巻さんが取れっていうからこっち来たんすよ!?」
「アタシじゃねえよ、ありゃ警察のお偉いさんからの意向だ。デュエルポリスにこれ以上手柄を渡したくないから、護送は警察の連中だけでやりたかったんだとよ。あとさんざ好き放題やりやがった奴が何言ってやがる」
「……残念ながら、その通りだ。一応護送にデュエルポリスがいない、なんて情報は漏れないように日本警察にも上から話は通しておいたんだが、まあ無駄だったな」

 いっぺんに仕事の顔つきになった鳥居と糸巻の会話に、仏頂面の鼓が補足する。お互いに今回の決定について面白くは思っていなかったが、デュエルポリスに表立って国家権力に異を唱えるような権力はない。
 結局、どこまで行ってもこの世界におけるデュエリストは虐げられる側なのだ。武力担当として非常時には泣きつかれ、脅され、最前線で戦えど、ことが終わればそれでおしまい。手柄はすべて取り上げられ、またひとつデュエリストの評判が落ちたという事実だけが後には残る。

「み、皆さん、その……」

 その場の空気に何か言いたげな竹丸に気づき、糸巻はくたびれた笑顔を向けた。

「あー、まあいつものことさ。13年間変わりゃしない、な」
「そういう仕事だ。だが、私はこれが必要な仕事だと思うよ」
「糸巻さん、鼓さん……」
「なんじゃ、すっかり物わかりのいいセリフを吐くようになって。それともそれは、あの時デュエルポリスになることを拒んだわらわへのあてつけかの?」

 言葉とは裏腹に面白がるように扇子で口元を覆い笑う笹竜胆に、2人のデュエルポリスが応えたのは全くの同時だった。

「「いや、アンタ(お前)の方がアタシ(私)よりずっとまともな感性だった、って話さ」」

 ここまで地に堕ちたデュエルモンスターズにしがみついている時点で結局はみな同じようなものだ、そう皮肉気に彼女たちは笑う。
 守るべき世界からの迫害に耐え、常に後手での火消しに回る自分たちデュエルポリスも。散発的に暴れつつ、同時
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