お姫様
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スイムスイムの口が動く。
初めて彼女の肉声を聞いた。そう思うよりも早く、事態は進行していく。
「人の命を奪えるのがお姫様……だから」
「おい、スイムスイム、テメエ何を……!?」
「マスターは私にとって一番身近な人でした。だから犠牲になってもらわないと。私がお姫様になるために」
スイムスイムが一人で話を続けている。
「おい、やめろ!」
真司は大急ぎで龍騎に変身し、晶の前に割って入る。
だが、スイムスイムが振り抜いたナイフが龍騎の装甲を切り裂き、大きく弾き飛ばす。
「ごめんなさいマスター。ごめんなさい」
だが、自らの言葉に酔いしれる彼女は止まらない。指先で涙を拭いながら、手にもったナイフを振りかざし、マスターである晶へ刃を向けた。
龍騎はそんなスイムスイムの腕を掴む。
晶から引き剥がし、そのまま取っ組み合いながら、龍騎は叫んだ。
「逃げろ! 逃げろ!」
龍騎の必死の叫びに、晶は頷く。
そのままスイムスイムには目もくれず、その場から走り去っていった。
彼女の姿がスタジオからいなくなった頃合いに、龍騎はスイムスイムに怒鳴る。
「お前、マスターを殺そうとするとか、何考えてんだよ!」
だが、少女は語らない。
「こんなこと、絶対間違ってる!」
喋らない。
「おい、聞いてんのか!?」
聞いていない。
スイムスイムは体を液体にし、龍騎の拘束から逃れる。
背後に回り、ナイフの矛先を龍騎に変えた。
だが、すでに龍騎は、ベルトのカードデッキから武器を引き抜いていた。
『ストライクベント』
召喚された龍の頭部が、ナイフを受け止めた。そのまま龍騎は、ドラグクローを引き込む。
「いい加減に……!」
ドラグクローの口元に、赤い炎が溜まっていく。。
赤い無双龍、ドラグレッダーもまた、龍騎の動きに合わせてその周囲でとぐろをまく。
「しろおおおおおおおお!」
ドラグクローにより照準が合わせられた、ドラグレッダーの火炎。文字通り桁違いの火力を誇るそれは、液体というスイムスイムの盾を蒸発させ、その体に大きなダメージを与えた。
スタジオの壁を砕き、地面を転がるスク水少女。
やりすぎたかと心配しながら、龍騎は思わず駆け寄る。
「おい、大丈夫か?」
龍騎は彼女を助け起こそうとした。
だが、ボロボロの彼女が選択したのは、救援に応じるのではなく、反撃。
龍騎の鎧から火花が散り、スイムスイムが起き上がる。
「ぐあっ……」
さらに、怯んだ龍騎に対して、スイムスイムはどんどん攻める。
ドラグクローで防御をするものの、スイムスイムのナイフ捌きは卓越していた。やがて龍の
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