アイングラッド編
追想編
黒の剣士 02
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、どういたしまして」
それに、1つ判ったのは命を賭けた戦いの生き抜き方だ。
慣れるまでは肩にガチガチに力が入り、一戦ごとに休んでいたが、今では戦いにも慣れ、大分リラックスして戦えるようになってきていた。
しかし、昨日のようにイレギュラーが加わると、視界が狭くなり戦闘に支障をきたす。
肩の力を抜き、全体を見渡す力を持つ。
それが余裕を生み、結果的に生存率を上げることに気がついたのだ。
シリカに向かって伸びてきたツタをキリトが弾く、仰け反って露になったモンスターの弱点に向かって短剣の5連撃技を叩き込むと、断末魔の叫びと共にモンスターが爆散した。
「……やった!」
「おつかれさま」
離れたところではレイもよく頑張ったと言わんばかりに頷いていた。
シリカはせめて、昨日のようにパニックには成らないようにと決意を新たにしていた。
――しかし、
「きゃああああああ!?」
敵は先程と同じ、醜悪な人食い花のモンスター。
気持ち悪いとは思っていたせいか、面と向かって対峙すると、どうしても引け腰になってしまう。
結果、空ぶったソードスキルの硬直時間にツタで足を絡め取られ、逆さに宙ぶらりんになり、スカートが仮想の重力に従ってずり落ちてくる。
「キリトさん、レイさん助けて!見ないで助けて!!」
「そ、それはちょっと無理だよ」
「……百歩譲って何秒までならOK?」
「……0.5秒で」
「……やってみようか」
と、言った瞬間に駆け出したレイは完全に油断していたモンスターの懐に潜り込むと、間髪入れず弱点を攻撃した。
「きゃ……」
急に足の拘束を失い、宙に放り出されたあたしをレイさんがぽすっと腕の中に受け止めてくれた。
「……キリトさんは見ました?」
「……見てない」
「ささ、行こうぜ。目的地はすぐだ」
「お、おう……って」
キリトさんが不意に立ち止まり、こっちを何故か引きつった苦笑いでこっちを見てくる。
その瞬間、あたしは自分が今どういう状況なのか思い出した。
「どうした?」
わざとなのか素で分かってないのか、レイは首を傾げている。
「あ、あの……レイさん……」
「ん?」
「お、降ろして下さい……」
『宙に放り出されたあたしをレイさんがぽすっと腕の中に受け止めてくれた』つまり、今の状況は……
「おまえ、素でやってんのかその……お姫様だっこ」
だった……
「落っこちて来たのが女の子だったら当然こうだろ」
「……まあ、いいけど」
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