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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
ポルトガの灯台守
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船で行けるルートは一つしかないといってるのに、それ以外にも道があるなんて、どういうことなんだろう。
「船で、と言っただろう。おれが得た情報だと、世界のどこかに、オーブと呼ばれるものが全部で六つ存在しているらしい。確か、赤、青、黄色に緑と……、まあとにかく、それぞれ何かを象徴してるみたいだが、詳しいことはわからねえ。そのオーブをすべて集めることが出来れば、船を必要としないで魔王の城に行けるんだそうだ」
「その話は本当か!?」
 バングさんに掴みかからん勢いで迫るユウリ。
「ああ。それで、全く同じ話をあんたの親父にも伝えたんだ。けれど結局、六つ全てを集めることは出来なかったみたいだぜ」
 そう鼻で笑うと、バングさんは突然真剣な表情でユウリを見据える。
「あのオルテガでさえ見つけられなかったものを、あんたは見つけられるって言うのか?」
 そう言い放つバングさんの目は、どこか品定めをしているようにも見えた。
 きっとユウリもそう感じているのではと思いつつ、逆上しないかと私は内心ビクビクしていた。だが、
「ああ。俺はあの男とは違う。もし必要になったとしても、俺の力で全て見つけてみせる」
 そう言いきったユウリの目に、迷いはなかった。
「ははっ、言うじゃねえか。面白い、気に入ったぜ。でもな、せっかく船があるんだ。まずは船でネクロゴンドに行ってみな。テドンの岬を陸づたいに行けば魔王の城が見えるはずだ」
「……わかった。礼を言う」
 バングさんに魔王の城への行き方を教えてもらい、素直に頭を下げるユウリ。
「じゃあな、道中気を付けろよ。……それとヒックス、ちゃんと勇者を魔王の城まで乗せてってやれよ」
「ああ、お前に言われなくてもわかってる」
「へへ、昔と違って、ずいぶん丸くなっちまったじゃねえか」
「うるせえ。勇者さんの前で変なこというんじゃねえよ」
 そう笑いながら別れの挨拶を済ませると、バングさんは仕事に戻ると言い、扉を閉めた。
 帰りの道中、ヒックスさんは早速ユウリに尋ねた。
「どうでしたか?」
「なかなか有益な情報だった。おかげでこれからの方向性がある程度定まった」
「それはよかったです」
 そう頷くと、二人は今後の針路について話し始めた。そのまた後ろで私は、ユウリに借りた世界地図を黙って眺めながら歩いている。
 確か、ここがテドン。そこをぐるっと迂回して、突き当たった先がネクロゴンド山脈。そこから魔王の城までの道程は行ってみないとわからないけれど、ようやく目的に一歩近づいたような気がして、無意識に胸が高鳴る。
「とりあえず、ネクロゴンドに向かおう。城には行けなくても、その近辺がどういう状況なのかをある程度は把握しておきたい」
「わかりました。すぐに船員に指示を出し出航します」
 そういうと、一足先にヒックスさん
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