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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
ポルトガの灯台守
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 そう呟くと、感慨深げに息を吐く。
「なあ、おれは初耳だったんだが、本当にお前はあの英雄オルテガと一緒に旅をしていたのか?」
 ヒックスさんがユウリと同じ問いを投げ掛けると、バングさんは遠い目をした。
「ああ。出会ったのは十一年前だが、オルテガが消息を立ったのはそれから一年もたたないくらいの頃だった。当時おれは、ちょっとは名の知れた海賊でな、自分で言うのもなんだが、この辺じゃ知らないやつはいないほどだったんだよ。そんなときある町で、あの男はいきなり一人でおれの船に乗り込んできたんだ。それで、何て言ったと思う? あいつ、魔王の城に連れてってくれと頼み込んできたんだ」
 一人で海賊の船に乗り込んで、さらに魔王の城に連れてってくれだなんて、オルテガさんてずいぶん破天荒な人だったんだというのが窺える。
「少し聞くだけでも、面白い男だな、オルテガは」
 半ば感心するようにヒックスさんが言うと、父親の話だと言うのに全く興味がなさそうな顔でユウリがバングさんに尋ねた。
「で、結局魔王の城まで連れてったのか?」
「ああ。そのときはあちこちに火山が噴火していて、大分地形も変わってると思うから、今はおそらく通れないと思うぜ」
「なら場所だけでもいい。教えてくれ」
「いやしかし……」
「頼む」
「……仕方ねえな」
 最初は口ごもっていたバングさんだったが、ユウリの真摯な態度に折れたようだ。
「ちょっと待ってな。今世界地図を持ってくる」
「世界地図ならここにある」
 ユウリが鞄の中から世界地図を取り出し、皆の前で広げて見せた。
「こりゃ珍しい。三賢者が作った世界地図だな」
 所有者の位置がリアルタイムでわかるこの地図は、やっぱり珍しいものだったらしい。あとで聞いたが、この地図は昔、三賢者と言われた一人の賢者が道に迷わないようにわざわざ作ったという逸話があるそうだ。
 それはさておき、気を取り直して、バングさんは現在地を指で指し示した。
「魔王の城は、ここからちょうど南東だな。未到達の場所は表示されないから現在の地形がどうなってるかはわからないが、この辺りはネクロゴンド山脈と呼ばれていて、活火山が多い。現にオルテガが消息不明なのも、火山に巻き込まれたからだという噂が立つくらいだ」
 オルテガさんが消息不明、というバングさんの言葉に、なんとなくユウリの方をちらっと見るが、当人はさして気にする素振りは見せていない。
 バングさんは、今いる位置から魔王の城までを指でなぞった。
「おれたちが通ったのは、南にずっと行ったところにあるテドンの岬をぐるっと回り込んで行ったルートだ。おれが知る限り、船で行くにはこのルートしか行くすべはないだろう。だが、実はもうひとつ魔王の城に行く方法がある」
「? 今の話、矛盾してるじゃないか」
 確かに、
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