初めての・・・
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その声で我に返った私はすぐにそちらに目を向ける。そこにはさっきまでの二人の前にいる、赤色の髪をした少年が立っている。
(もう一人いたなんて・・・しかも・・・)
後ろの二人よりも明らかに雰囲気がある。恐らく彼が、この中でのリーダーなのだろうとすぐに察しがついた。
「はぁ・・・」
こちらを鋭い視線で見ていた少年は二人にそれを向けた後、大きくタメ息をつく。
「こりゃあ後でアポロ様に何か言われるな。混血とは言え、他所の世界の天使を殴っちまったからな」
「「す・・・すみません・・・」」
彼の言葉に身を小さくする二人。しかし、少年は二人の肩に手を乗せ笑顔を見せた。
「まぁ気にするな。とりあえず俺が責任は取るからよ。さて・・・」
二人を落ち着けたかと思ったら、今度はこちらへと体を向ける。そのあまりの圧力に、体がビクッと反応してしまった。
「悪いな、お前の大切な奴らを傷つけちった」
「え?いや・・・」
一体何をされるのかと身構えていると、予想外の優しい言葉に拍子抜けしてしまう。私がなんて答えればいいのか迷っていると、彼はそれを待たずに言葉を紡ぐ。
「お願いだ、ここは君たちが引いてくれないか。そうすれば君たちの命も、この国の住人の命も保証する。ただもし・・・」
優しげな笑顔から一転。厳しい顔つきになると、彼は体からオーラを醸し出しながらこちらへと一歩踏み込んだ。
「断るのであれば、俺の身を賭けてでもお前たちとこの国の住民の命は奪ってやる」
「!!」
その目を見てすぐにわかった。ハッタリじゃない・・・彼は本気で私たちを殺そうとしている。それには後ろの二人も驚いているけど、そんな中でも私は必死に頭を働かせた。
(妖精の尻尾の一員として、この依頼は完遂しなきゃダメ・・・でも・・・)
倒れている皆さん・・・そして街の人たちのことを思い出す。意識を取り戻しそうな雰囲気がない皆さん・・・そして、私一人では、彼らを倒すことができないことなんてすぐにわかった。
「・・・わかりました・・・」
握り込んだ手に力が入り、震えてしまう・・・自分の弱さと身勝手さに、悔しさを抑えることができなかった。
「ありがとう、優しい君に俺からささやかなアドバイスだ」
「え・・・」
私から欲しかった回答を得られたからか、赤髪の少年は笑みを浮かべ、こちらへと降りてくる。
「俺たちは一度この世界から離れる。もちろん、この国の状態はキープしたままで」
ゆっくりとした足取りでこちらへと近付いてくる。それなのに、私はなぜかその場から動かずに、近付いてくるのを待ってしまっている。
「俺たちは今後も同じようにこの世界であらゆる場所を混沌に陥れる。もし今後同じよう
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