信用できません
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ああん!」
保登心愛。紗夜の前で、銀および赤のヒューマノイドに変身した少女。気絶したチノを背負いながら、元気に走り寄ってきた。
「やっと見つけたよ! どこにいたの?」
その言葉に、紗夜は思わず顔を背ける。
だが、今の紗夜のことなど露知らず、こちらの顔を覗き込んでくる。
「紗夜ちゃん?」
「保登さん……」
「ん?」
いつもと変わらない眼差し。可奈美やハルトたちとは違い、彼女のことは一年以上知っている。だからこそ、信用できないわけではなかった。
「保登さん、今までどこにいたんですか?」
「え? 紗夜ちゃんを探していて……あれ?」
ココアは首を傾げた。
「ずっと湖のほとりを走っていて……あれ? でも、ちょっと記憶がすっぽりと抜け落ちているような……」
「抜け落ちている……」
だが、トレギアの前に現れたココアは、間違いなく自らの意識で動いていた。
その時の彼女の表情からも、無意識とは思えない。
ココア自身も、何があったのか分からなかったのだろう。
だが、これだけは聞いておきたかった。
「あなたは……何か、おかしくなっていませんか?」
「ふえ?」
ココアが素っ頓狂な声を上げる。
「おかしく? 何それ?」
「その……ッ!」
その時、紗夜の脳裏に閃く。
ココアがあのヒューマノイドになるとき、彼女が毎回、白いアイテムを使っていた光景がフラッシュバックする。
「保登さん、ポーチの中を……見せてもらってもいいですか?」
「ポーチ?」
疑問符を浮かべながら、ココアは「いいけど」とポーチを差し出す。
礼を言いながら、紗夜はポーチを受け取る。
白い生地に、花の刺繍がしてある可愛らしいポーチ。上蓋になっているそれを開ければ、その中のココアの私物たちが顔をのぞかせた。
財布、メモ帳、スマートフォン。そして。
「……あった……」
紗夜が探していたもの。
白い、納刀のような形をしたもの。赤い模様が刻まれ、その中心には青い結晶が埋め込まれている。それはまさに。
「保登さんが、あの時に使ったもの……」
「あれ? 何だっけこれ」
それは、ココアの言葉だった。丸い目をして、ポーチから出てきた白い物体を見つめている。
「保登さん……これは?」
「うーん、私も知らない」
ココアが本気の嘘をつけないことは、紗夜も知っている。これまで学校でそれなりに彼女と接してきた。常に心からの笑顔を浮かべているココアに、本気の状況で嘘など言うことはない。
紗夜は、その白いアイテムを握りながら尋ねた。
「保登さん、少し手を見せてください」
「ええ!?」
突然で驚いているが、構わず紗夜はココアの手を握る。
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