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戦姫絶唱シンフォギアGX〜騎士と学士と伴装者〜
第6節「装者達の黄昏」
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ことない 世界に夢抱き キスをしましょうッ!強くなる為には 何がいるかを──」

レイアが切歌に気を取られた、その瞬間だった。

〈α式・百輪廻〉

シュバババババッ!

幾つもの小型の丸鋸が、エルフナインと純を取り囲んでいたアルカ・ノイズを輪切りにしていく。

足裏のローラーで走行しながら乱入して来たのは、丸鋸を放った薄紅色のギア、鏖鋸・シュルシャガナを身に纏うもう一人の装者、月読調であった。

「……女神ザババの……あ──」

助けが来た事で緊張が途切れたのか、エルフナインはそこで気を失った。

調は倒れるエルフナインを受け止めると、純に目配せしてそのまま走り去る。

「派手な立ち回りは陽動……?」

純もまた、切歌が先程放ったのぼりを、衣服の代わりとしてクリスに巻くと、彼女を抱えたまま走り出した。

そして、切歌は残るアルカ・ノイズを全て片付けると、そのまま撤退していく。

「陽動のまた陽動……少しはやるようだ」

眼前から迫る残りの群れを、調は攻撃と移動手段を兼ねた〈非常Σ式・禁月輪〉で一掃し、レイアとの距離を稼ぐ。

だが、アルカ・ノイズを倒した直後、紫電と共に身体に痛みが走り、禁月輪は解除されてしまった。

(やっぱり、わたしたちの適合係数では、ギアを上手く扱えない……ッ!)

「調ッ!」
「大丈夫、今はそれよりも……」
「分かってるデス」
「ありがとな、2人ともッ!三十六計逃げるに如かず、光の速さで撤退だッ!」

その場に立ちつくすレイアを残して、3人は撤退していく。

手持ちのアルカ・ノイズを全て失ったレイアは、撤退していく3人の後ろ姿を見ながら、キャロルに指示を求める。

「予定にない闖入者……指示をください」
『追跡の必要は無い。帰投を命ずる。ファラも十分だ──』

キャロルの指示に従い、レイアは例のアンプルを地面に放る。

次の瞬間には、戦いの跡だけが残る高架線に一陣、夏の夜風だけが流れていくのだった。

ff

「調ちゃんと切歌ちゃん離脱……クリスちゃんや、保護対象の無事も確認していますッ!」
「装者との合流を急ぎますッ!」

装者達の撤退、そしてキャロルら一味が現場を後にしたのを確認し、S.O.N.G.司令部は状況の終了と共に胸を撫で下ろしていた。

だが、安心はできない。

ロンドンにいる翼とマリアからの報告は、職員らを更なる絶望へと叩き落とすのだった……。
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