第三章
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「凄いのよ」
「その作品は」
「読んでよかったわ、長官は宇宙を旅される時にこの作品をいつも思い出されるそうだけれど」
「これからは姉さんも」
「そうなるかも知れないわ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「今度宇宙に出る時は」
「その作品を思い出すのね」
「そうなるわ」
妹に笑顔で話した、そして実際にだった。
ソガモはある日仕事で地球からマレーシアに行くことになった、それで宇宙船に乗ってそのうえで銀河の海に出たが。
宇宙船の窓から銀河の景色を見て言った。
「本当に銀河鉄道の夜ですね」
「ああ、宮沢賢治の」
「あの人の作品ですね」
「そうでしたね」
「あの作品を思い出しました」
八条の言う通りそうなったというのだ。
「銀河の星達を観ていますと」
「そうですか、ではですね」
「この宇宙船は列車ですね」
「あの作品で言うなら」
「そうなりますね」
「そうですね」
実際にというのだ。
「これは」
「左様ですね、私もあの作品は読みました」
「私もです」
「私も読みました」
同行の者達は読んでいた。
「いい作品です」
「素敵なファンタジーです」
「最後は悲しいですが」
「そうですね、ではあの作品の様に」
今からとだ、ソガモは同行する同僚達に応えてだった。
宇宙の旅を楽しんだ、そして眠った時に。
自分があの作品の様に銀河を旅する列車に乗ってそこから銀河の海を観た、目が覚めた時自然と笑顔になった。
そしてマレーシアで仕事をして地球に帰って八条に仕事のことを報告したが。
その後で彼に銀河鉄道の夜を読んだこととそこから宇宙の旅で感じたことを話した、すると八条は笑顔でこう言った。
「そうですね、あの作品を読んで」
「そのうえで宇宙に出ますと」
「宇宙がです」
星の大海であるこの世界がというのだ。
「これ以上はないまでにです」
「素晴らしいものに見えますね」
「はい」
こうソガモに答えた。
「ですから私は今もです」
「あの作品がお好きですね」
「そうなのです。読んでよかったと」
その様にというのだ。
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