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狂骨
第一章

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               狂骨
 幕府が開かれてすぐの頃のことである、江戸城の築城が凄まじい勢いで行われその周りの町も整えられていっていた。
 その中で将軍である徳川家康は幕府に仕える僧侶である天海に話した。
「西の丸の井戸でな」
「はい、ただ出が悪いのではなく」
「夜な夜な怪しい気配がしてな」
 そしてとだ、家康は天海に茶室で話した。
「そしてな」
「そうしてですな」
「知っておるか」
「少し聞いております」
 天海は家康に茶を飲みつつ答えた。
「髑髏を見たとですな」
「言う者がおる」
「そうでありますな」
「それで和上にな」
「このことについてですな」
「何とかしてもらいたいが」
「わかりました」 
 天海は一言で答えた。
「さすればです」
「すぐにか」
「はい、その井戸に行き」
 そうしてというのだ。
「そのうえで」
「ことを解決してくれるか」
「実は拙僧も今日にでもです」
「その井戸に行くつもりであったか」
「早急の件と思っていましたが」
「和上も忙しいからのう」
「はい、今は」
 江戸城とそして町の普請のことでだ。
「何かとです」
「城に町の守りをな」
「神仏の面から固めていますので」
「そうであるな」
「ですから」
 その為にというのだ。
「今日まで江戸の町に何かと結界を張る為のです」
「下準備をしておったな」
「そうでして」
 そちらの仕事があってというのだ。
「今日までは」
「井戸のことを聞いていてもだな」
「向かえませんでした」
「そうであったな」
「はい、ですが」
「今日からだな」
「井戸に向かえます」
 それが出来る様になったというのだ。
「ですから」
「それで、であるな」
「今夜です」
 まさにこの夜にというのだ。
「行って来ます」
「それではな」
 家康も応えてだった。
 天海は早速この夜に江戸城の西の丸にあるその井戸に向かうことにした。そしてその夜実際にであった。
 天海は弟子達を連れて西の丸に入った、そして井戸に向かって歩きながらそのうえで弟子達に話した。
「江戸は長きに渡って泰平な街にせねばならぬ」
「もう戦国の世は終わった」
「だからですね」
「戦が起こらぬ様にして」
「祟りもですな」
「左様、だから拙僧は江戸に神仏のお力を使った結界を色々と張っておるのだ」
 江戸を祟りから護る為にというのだ。
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