第四章
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「夏織さんのそれを」
「それで付き合ってるのか」
「僕から告白しました」
「それで私が受けたの」
夏織も言ってきた。
「それでなの」
「そうなんだな」
「そうなの、それでなのよ」
「付き合う様になってか」
「それで今日撫一君を呼んだの」
「そうか、しかしな」
匠一郎はここまで聞いて言った。
「どうしてもな」
「どうしてもといいますと」
「いや、君みたいな人はな」
撫一に対して言った。
「とてもうちの妹を好きになるなんてな」
「思えないですか」
「完全なアウトドア派でな」
夏織、彼女はというのだ。
「何をやっても男みたいなんだぞ」
「そうですね、それは私もです」
「思うよな」
「夏織さんは野の花です」
「野って外のか」
「自然の。ありのままに咲いている」
そうしたというのだ。
「花なのです」
「野の花か」
「それに対して私は自分で言いますが」
それでもとだ、撫一は匠一郎に話した。
「お部屋の中で育てられた」
「そうしたっていうのか」
「はい、手入れされた花です」
「華道のそれみたいなものか」
「そうです」
まさにというのだ。
「私は。ですが夏織さんは私にないものを全て持っておられ我が家にもです」
「ないものをっていうんだな」
「全て持っておられるので」
「好きになったんだな」
「夏織さんには夏織さんの美があります」
「美かよ」
「はい、ですから」
それ故にというのだ。
「私は夏織さんが好きになり」
「そうしてか」
「自分から勇気を出して」
そうしてというのだ。
「告白しました」
「それで私が受けたの」
夏織も言った。
「それで実は撫一君のお家にもね」
「行ったんだな」
「それで華道や茶道もね」
「やったのかよ、お前が」
「いや、正座は案外平気だし」
「したことあったのかよ」
「これが幸い私正座は平気な体質みたいで」
明るく口を大きく開いて話した。
「それでね」
「大丈夫でか」
「そう、それでね」
だからだというのだ。
「華道も茶道もね」
「やってみたんだな」
「そうなのよ」
「お前がそんなこと出来るのかよ」
「今お話させて頂いた通りで」
撫一がまた言ってきた。
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