第二章
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「こうした娘が好きな人も」
「ちゃんとな」
「こんなに何をやっても男みたいでもか」
「だからそうした娘が好きな人もな」
「いるわよ」
両親はまた息子にこう言った。
「だからね」
「そんなに気にすることはないぞ」
一切とだ、父は言い切った。
「少なくとも夏織は性格は悪くないしな」
「そうそう、家事もしてるし」
母も言った。
「それが男の子みたいだってだけで」
「むしろ料理は美味いだろ」
「ああ、それはな」
匠一郎もこのことは認めた。
「実際にな」
「それじゃあな」
「問題なしよ」
家族は笑って言った。
「だから何時かね」
「夏織にも素敵な人が出て来るさ」
「そうだといいけれどな」
匠一郎は両親に言われてもどうかという顔だった、そのうえで。
夏織が作った料理を食べた、それは確かに美味かったが。
繊細さや可憐さとは正反対の味でワイルドそのものだった、キャンプ場で食べる様な味でそれでまた言った。
「男の料理だな」
「まだそう言うの」
「本当にそんな味だからな」
夏織自身に言った。
「こう言うんだよ」
「これが私だから」
「それはわかるけれどな」
「それでもなのね」
「本当に女の子らしくないな」
このことはどうしてもというのだ。
「お前は」
「だからそれでも出来ることは出来ているからな」
「別にいいでしょ」
両親の言うことは変わらなかった。
「そしてその夏織にもね」
「きっといい縁があるさ」
「そうだといいけれどな」
そのワイルドな料理を食べて言う兄だった、正直そんな人がいるのかどうかわからなかった。そして。
夏織は動きも男そのもので服装もズボンばかりで動きやすいものばかりでいつも身体を動かしていた。部活も登山部で陸上部も掛け持ちしていてだった。
いつも身体を動かし汗をかいていた、力仕事があると進んで行いスコップもトンカチも上手に使った。それでだった。
やけに山のことにも詳しかった、それで匠一郎はこうも言った。
「胡座かかないだけいいけれどな」
「男の子みたいっていうのね」
「どっからどう見てもな」
まさにとだ、夏織自身に言った。
「それでどうしてだよ」
「彼氏が出来るかっていうのね」
「そうだよ、そんなにワイルドでな」
それでというのだ。
「本当にな」
「まあお父さんとお母さんはね」
夏織はどうかという顔で言う兄にこう返した。
「大丈夫だって言ってるし」
「俺はどうもな」
「そうは思えないの」
「絶対にな」
こう言うのだった。
「思える筈ないだろ」
「そうなのね」
「お前みたいなタイプ好きになるっていったら」
それこそというのだ。
「考えられないな」
「自衛官の人とかは」
「じゃあ自
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