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水の国の王は転生者
第七十二話 カトレアの決断
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ッタだ。
 マクシミリアンの様に『特別』でない、未だ10歳のアンリエッタを先頭に立たせるには力不足だった。

「出てって! 私達二人だけにして!!」

 カトレアとアンリエッタ、そして典医を含めた全員がエドゥアール王の寝室から追い出された。

「……」

「アンリエッタ」

 家臣やメイド達が見守る中、カトレアはアンリエッタに声を掛けたが、アンリエッタはショックの為か目の照準が定まっていない。

「義母様は、今は気が動転されておられるのです。本心ではありませんよ」

「……うん」

 カトレアは、アンリエッタは力無く俯いていた。

 どうしたものかと、アンリエッタへの慰めの言葉を考えていると、家臣の一人が駆け寄ってきた。

「王太子妃殿下」

「何?」

「至急、会議室まで御越し願えないでしょうか?」

「何があったのです?」

「実は会議が紛糾しておりまして、何方かに場をお納め頂かないと収拾がつきません」

 マクシミリアン不在の今までは、エドゥアール王が王城と新宮殿の家臣団を回していたが、エドゥアール王が崩御した途端、王城と新宮殿の家臣達の間で縄張り争いを始め、空中分解をしかけていた。
 
「こんな大事なときに……分かりました、直ちに向かいます」

 次々と降りかかる問題に、カトレアはため息の一つも付きたくなったがアンリエッタの手前弱気なところを見せるわけにはいかない。

「アンリエッタ、わたしはこれから行く所が出来ました。貴女も着いて来る?」

「お義姉様、私も付いて行きたい、ここには居なくない」

「……分かったわアンリエッタ。皆は王妃殿下が変な気を起こさないように見張ってて」

「畏まりました。王太子妃殿下」

 そう家臣達に告げると、カトレアはアンリエッタを連れて会議室に向かった。







                      ☆        ☆        ☆






 王宮の会議室では、今後の対策の為の会議が行われていたが、会議の方向は王宮と新宮殿との権力争いに流れていった。

「その案件は貴方方の管轄ではありません!」

「この緊急時に、なにを言うか!」

 会議室内を飛び交う怒号に、帰国の準備を延期して『最後のご奉公』と心に決め会議に参加したマザリーニは、突如起こった権力争いに戸惑ってた。

(陛下や王太子殿下が居なければ、トリステインの誇る頭脳のなんと酷い事か……)

 いくら個々の能力が高くても、これらの人材を取り仕切る司令塔が居なければ、その結束は脆いものだった。

 会議が始まってから二時間ほど経ったが、マクシミリアン帰国の段取りすら決まっていなかった。

 そんな
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