第二章
[8]前話
「こうしたこともです」
「有り得ますね」
「だからここではジョギングもサイクリングも禁止ですし」
野生のライオン等が出るので危険だからなのは言うまでもない。
「ですから」
「こうしたことも有り得ますね」
「そうですね、じゃあこのことも考えて」
「売値を考えますか」
「そうしますか」
自分達に気兼ねなく寝ているライオン達を見て話した、幸い彼等はディビットが次に家を見に来た時には去っていて家は高値で売れた。
そしてデビアー家が家族ぐるみで交流をしているブエル家と一緒に自分達の国の南アフリカにあるクルーガー国立公園に行ってだ。
そこでの観光を楽しみそれが終わって公園を後にする時にだ。
二つの一家を乗せているキャンピングカーを運転しているブエル家の父親であるラム=ブエル日焼けした肌に青い目と黒い髪を持つ大柄な彼が前を見て言った。
「ちょっと進めないな」
「どうしたんですか?」
「見てくれ」
自分の横に来たディビットに言った。
「前を」
「うわ、多いですね」
見れば道をライオンがゆっくりと横切っていた、その数は。
ディビットは彼等を数えてブエルに言った。
「十五頭いますね」
「多いよな」
「ライオンの群れではかなりですね」
「そうだな、だからな」
「今はですね」
「通り過ぎるのを待とう」
ライオン達がというのだ。
「そうしよう」
「わかりました、ただ何か最近」
ディビットは売った家を見に行った時を思い出しつつブエルに話した。
「ライオンと縁がありますね」
「そうなのか」
「はい、まあ襲われないといいですし」
「見ている分には格好いいしな」
だからと言うのだった。
「襲われないならいいな」
「そうですね、じゃあ群れが横切ってから」
「行こうな」
ブエルはこう言ってだった。
暫く車を停めた、そうしてライオン達が去ってからだった。
車を再び動かした、そこでディビットから彼の売る家で見たライオン達の話を聞いて笑顔になった。そしてそれは確かに縁があると言うと話した当人もそうですねと笑って返した。そのうえでそれぞれの家に帰ったのだった。
大人しいライオン達 完
2021・7・28
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