第二章
やはり平塚先生からは逃げられない。
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× × ×
...今、俺は見ようによっては女教師に腕をとられていて、しかも肘には胸がちょいちょい当たっているラッキーなやつに見えなくもないかもしれない。
だが全然ちっとも嬉しくない。実際は腕をとられているのではなく、肘を極められていて、なにより今から送られるのはあの部室だ。平塚先生の胸の感触を精一杯堪能する精神的余裕はない。...ちくしょう。
「「...」」
会話がなにもねぇ...。
...その空気を気にせず平塚先生は口を開く。
「...それにしても桐山。お前は逃げようとしないんだな...」
「...その言い方だと比企谷は逃げようとしたんですね」
「まぁ...な、その通りだが」
「俺、もう逃げる気無いんで、もう一人でいいですよ?」
「そう寂しいことを言うな。私が一緒に行きたいのだよ」
平塚先生は ふっ、と優しげに微笑みかけた。普段とのギャップになんだかドキッとした。
「君は簡単に嘘をつくからな...。今君を信じて一人にしたがために逃がして歯噛みするより無理やり連行した方が私の心理的ストレスが少ない」
「なぁんだ。さいっていな理由だー」
「何を言うか...。嫌々君の更生のためこうして付き合っているのだぞ。美しい師弟愛というやつだ」
「愛...ですか。愛だの何だのよくわかりませんが、それが愛なら愛など要らないです」
「...比企谷も捻くれているが、君もなかなかだな。比企谷とはまた違った捻くれ方をしているな、君のは捻くれているというより中身が螺れている、歪んでいるというのが正しいか?」
「いや、俺に聞かないでくださいよ」
「世の中をそんな螺れた見方をしながら生きて何が楽しいんだ?」
「楽しいことなんて何もないですよ」
「ふむ...、ならなんでそんな生き方をしているんだ?」
「生き方って言って良いほど大したことないんですよ、楽しいことなんてないから、才能もないから、努力して何かする意欲もないから何もしてないだけです。めんどくさいんです。努力とか。面倒だから必要最低限のエネルギーで生きたいんです」
「それは何の才能もない自分をごまかす言い訳か?」
「いや、そうではなくてですね...」
ちょっと違うな...。俺が訂正しようとするとそれを遮られる、
「まぁいい。君が見た目以上に螺曲がっているのはよくわかった。...そんな螺れた桐山に質問だ。君には雪ノ下雪乃はどう見える」
「嫌な奴」
即答した。嫌な奴...、まさしくそうだ。イヤー俺良いこと言った。
...言ってない?そうだね言ってないね。
「ほんとに比企谷とおんなじことを言うな...」
平塚先生は苦笑した。
「非常に優秀な生徒ではあるんだが
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