第二章
[8]前話
「グレーはグレイ、白はホワイト、どっちも雄だ」
「男の子か」
「黒のダッグスはブラックで茶はブラウン、こっちもどっちも雄だ」
こうアレクセイに話した。
「アストラハンにいた時に狩りに出てな」
「その時にか」
「森で子供の頃出会ってこっちに助けを求める様に来たんでな」
それでというのだ。
「保護してな」
「それでか」
「こうしてな」
「一緒にいるんだな」
「ここに移ってもな」
ボルゴグラードにというのだ。
「狭いアパートだけれどな」
「随分幸せそうだな」
「狼は結局犬だからな」
ストコヴィッチもこう言った。
「だからな」
「子供の頃からちゃんと育てるとな」
「こうしてな」
「ちゃんと懐くな」
「そうなんだよ」
こう言うのだった。
「周りは怖がるけれどな」
「それは狼を知らないからだな」
「ああ、けれどその実は」
「いい子達だな」
「本当にな、だからこれからもな」
「うちと一緒だな」
「一緒に暮らすさ」
狼達と、というのだ。そしてだった。
ストコヴィッチのところに来た狼達をだった。
二人で撫でた、そしてそこにストコヴィッチの娘でありマリーナ赤髪をポニーテールにしている鳶色の目で見事なスタイルの女性が来たがストコヴィッチはアレクセイに対して彼女のことも話した。
「こいつもグレイとホワイトが家族になって」
「それでか」
「教育大学から獣医のコースに移ったよ」
「そうなったんだな」
「生きものに興味を持ってな」
「狼を飼ってそうなったんだな」
「ああ、そっちの方がいいと言ってるさ」
娘を観てこうも話した。
「狼で人生が変わったな」
「それもいい方向に」
「ああ、こいつ等が来てよかった」
「それは俺もだ、番犬にもなってしかも優しいからな」
アレクセイも言った。
「狼は怖いと思われていても」
「実は違うからな」
「こんないい生きものはいない」
「全くだ」
二人で笑顔で話した、アレクセイが見た二匹は犬そのものの感じで尻尾を嬉しそうに振っていた。そしてそれは彼が家に帰った時に彼を出迎えた四匹もだった。彼はその彼等を見てその時も笑顔になった。
家族になった狼達 完
2021・7・27
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