-恐怖の獣たち-
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いく。
「ああ、その姿になっている時は、人間に憑かなければならないんだったねえ?」
だが、赤のヒューマノイドは、トレギアの挑発に乗ることはない。じっとトレギアを見つめ、その動きをうかがっていた。
「君のことは知ってるよ。たかだか残滓ごときが、私を止められるのかな?」
トレギアの挑発に、赤のヒューマノイドは動じない。
それぞれの距離を保ちながら、互いに足を動かす。
やがて。
トレギアの両手から、黒い雷が放たれる。
それは木々を薙ぎ倒しながら、赤のヒューマノイドへ迫っていく。
だが、赤のヒューマノイドは両手を組ませる。すると、その体は高速で移動し、いつの間にかトレギアの背後に回り込んでいた。
そのまま裏拳を放つ赤のヒューマノイド。しかし、トレギアは体を捻らせてそれを避けた。
「ふうん……生憎、今日はもう戦う気分ではなくてね」
軽い口調を崩さないトレギア。
「君にとっても、面白い相手を用意してあげよう。頑張ってくれよ」
トレギアはそう言いながら、指を鳴らす。
すると、彼の周囲に群青色の闇が発生した。徐々に形となっていくその形相に、響は息を呑んだ。
「何……あれ……?」
一言でいえば、ネズミ。
人間大のネズミというのも恐ろしいものだが、紗夜が感じた恐怖はそれだけではない。
醜悪に歪められた顔付き。悪魔のような鉤爪。前屈の体勢と、感情輸入を許さない真っ白な眼。
その白目が、紗夜を捉える。
「ヒッ……!」
悲鳴よりも先に、巨大ネズミが襲い掛かる。赤のヒューマノイドが身を挺して庇ってくれなければ、今頃紗夜は真っ二つになっていただろう。
赤のヒューマノイドは、悲鳴を上げる。言葉にならない声だが、それは明らかに痛みを伴っていた。
巨大ネズミが吠えると同時に、トレギアはせせら笑った。
「コイツに葬られると、ゾンビになるから気を付けてね」
「ゾン……」
「この怪物に操られるということさ。知ってるだろ?」
その言葉に、赤のヒューマノイドは動かない。
ただ、その白い目はじっとネズミの怪物を見つめていた。
「お姉ちゃん! どこ!?」
日菜の後を追いながら、ハルトは公園を見まわしていた。
夕暮れ時になり、多くの家族連れが帰り始めている。
「お姉ちゃん!」
「日菜ちゃん、ちょっと待って」
ハルトの声に、日菜は足を止めた。
「そもそも、お姉さんに会ってどうするの?」
「んー……分かんない」
「分かんないって……」
ハルトは首を傾げた。
一人、さっさと去っていった紗夜を追いかけた日菜。そんな彼女と紗夜を、今会わせてはいけないと感じたハルトだったが、彼女は気にも留めない。
「
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ