暁 〜小説投稿サイト〜
飛び込んで来た鷹
第二章

[8]前話
 自然動物保護センターに連絡をすると。
 すぐに停留所にセンターのスタッフが来てそうしてだった。
「では今から」
「鷹をですね」
「引き取らせて下さい」
 こうブルーソに言った。
「今から」
「わかりました、じゃあハーピーいいな」
 事務所のソファーの上に停まっている鷹に声をかけた。
「これで帰ろうな」
「クァッ」
「名付けられたんですか」
「いや、昨日いるうちに。どうも雄みたいですが」 
 ブルーソはスタッフに話した。
「鷹って呼ぶのも何ですし」
「それで、ですか」
「ハーピーとです」
 その様にというのだ。
「名付けました」
「そうですか」
「それじゃあハーピーを」
「はい、こちらで引き取って」
 そしてというのだ。
「野生にです」
「戻してくれますか」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあ」
 こうしてだった。
 ハーピーはセンターに預けられ野生に戻った、そして。
 ブルーソは後日センターのスタッフがそのことを報告した時に言われた。
「あの台風では大変で」
「だからですか」
「ええ、生きものの保護も」
 これもというのだ。
「かなりです」
「大変ですか」
「ペットだけでなく」
「野生動物の保護もですか」
「鹿を保護したり」
 スタッフは具体的な例を話した。
「リクガメ、溺れていたので」
「ああ、リクガメは」
「はい、亀ですが」
 泳ぎが得意な生きものだがというのだ。
「陸地に住んでいるので」
「だから泳げないですね」
「そのリクガメも保護しました、そしてペットですと」
 彼等の場合はというと。
「家の中に取り残された彼等を」
「助け出したんですね」
「そうしました」
「本当に大変だったんですね」
「はい、前に大きな台風が来た時に」
 スタッフは残念そうに話した。
「活動に問題を感じたので」
「だからですか」
「反省して改善していったので」
 だからだというのだ。
「今回はよりよく働けていると思っています」
「それは何よりですね」
「ですからこれからも」
「こうした時が来れば」
「多くの生きものを助けていきます」
「応援させてもらいます」
 ブルーソはスタッフに確かな声で応えた、そうして彼もその活動に参加する様になった。
 もうあの鷹に会うことはなかった、だが彼の心の中にはあの鷹がいつもいた。命を助けることがどういったものかを教えてくれたその鷹が。


飛び込んで来た鷹   完


                2021・7・24
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ