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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十 共同戦線
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場所。其処は今や、小さな穴があちこちに穿たれている。
角都の身体から現れた能面の化け物。その内の一体が【雷遁・偽暗】たる雷撃を放ったのだ。
鋭い雷の槍がカカシへ雨あられと降り注ぐのを、蹴りつけることで救った再不斬は、軽く肩を竦めた。

「俺はてめぇを助けたんだぜ?感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはねぇな」
「それはありがたいけど…もう少し穏便に助けてほしいものだね」

助けるわりに勢いよく蹴ってきた再不斬に文句を言いながら、カカシは立ち上がる。
しかしその眼は油断なく、角都の遺体を観察していた。

否、遺体だと思っていた身体がむくりと起き上がる。
何事もなかったかのように立ち上がった角都は、「相棒に助けられたか…命拾いしたな」と先ほどの再不斬と同じ言葉を口にした。

「そちらが不意打ちで来るなら、此方も不意打ちで返さねば…と思ったんだがね」

同じく、意趣返しとばかりに肩を竦める角都に、再不斬が舌打ちする。
写輪眼で相手の動向を注意深く観察しながら、カカシは眉を顰めた。

(急所は外していない。なのに何故、死なない…!?)

【雷切】で心臓を一突き。
角都さえ倒せば能面の化け物も行動不能かと思ったのに、カカシの思惑は外れた。

再不斬がいなければ【雷遁・偽暗】の餌食になっていただろう。
カカシの動揺を見抜き、角都がふ、と口角を吊り上げる。

「保険をかけておいて正解だったな…」


禁術である【地怨虞】。
他者の心臓を経絡系ごと取り込むことで、五つ全ての性質変化を扱うことが可能の術だ。
角都は己のものも併せて、五つの心臓をストックしている。

内、三つの分裂体である能面の化け物を外に出したが、念の為にふたつの心臓を己の体内に残しておいたのだ。
つまり今し方、カカシに突かれた心臓は、【水遁】の性質を持つ分裂体。

あえて最初から全ての分裂体を外へ出さなかった角都が平然としている様子を満足げに眺めて、飛段が自慢げに嗤った。

「カッコつけて「次はお前だ」とか言ってたわりに、だっせぇなぁ」
「煽るな、飛段」

挑発する飛段を諫める角都から距離を取りながら、カカシは地を蹴る。
再不斬の傍らへ着地し、シカマルとチョウジを背景に、彼は苦々しげに呻いた。

「確実に心臓を潰した…本来なら死んでるはずだ」
「おいおい。写輪眼のカカシともあろうものが泣き言か?」

再不斬の揶揄に、む…と眉を顰める。
再不斬の言葉で逆に、動揺を鎮め、落ち着きを取り戻したカカシの後ろで、シカマルは角都の能力を分析する。


以前、シカマルは角都と飛段の動きを止める為に、【影真似手裏剣】のチャクラ刀で彼らの影を地面に縫い留めた。
動けなくなったところを攻撃する手筈だったが、角都は自身の腕を前以て
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