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渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十 共同戦線
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た術者である綱手本人。
もっとも術式を正確に理解し、封印術に長けた人物ならば話は別だが。


「残念だ、霧隠れの鬼人」

はたけカカシと共に現れた忍び。
木ノ葉の増援と思われるふたり組を見て、角都は心底残念そうに頭を振った。

先日、アスマ率いる小隊とぶつかった際、割り込んできた再不斬のほうが木ノ葉の忍びより角都は遥かに価値を見出していた。
なにより賞金首である再不斬を存外気に入っていた為、カカシと共に現れた霧隠れの鬼人を見て嘆息する。

再不斬の首元。先日戦った際には無かったチョーカーを認め、角都は軽く片眉を上げた。
木ノ葉の里に連行されたと風の噂で聞いた再不斬がこうして自由になるに払った代償をなんとなく察して、鼻で嗤う。

「木ノ葉の狗に成り下がったか」

枷という名の首輪。
それをつけられ、木ノ葉の飼い犬になったか、と角都は嘲笑する。

「せいぜい噛まれないように気をつけろよ」

しかしながらその挑発を、再不斬は一言で一蹴した。「それに、」と付け加える。


「俺に首輪をつけられる奴なんざ、ひとりしかありえねぇよ」


明らかに五代目火影を指しているのではない再不斬の言葉を、カカシは怪訝に思う。
だがそれを追及するよりも、今は目の前の『暁』のふたり組をどうにかするのが先決。
その為には、再不斬と手を組むのが効率的だと切り替えるカカシの後ろで、シカマルもまた、鬼人の言葉に違和感を覚えていた。











「おいおいおい…」

【火遁・頭刻苦】を放ったばかりの能面の化け物が地面に崩れ落ちる。
カカシと再不斬の【水遁・水龍弾の術】の水龍に呑み込まれ倒れ伏せた能面を、飛段はどこか冷めた目で見下ろした後、角都を大声で糾弾した。

「啖呵切った傍から、いきなり一匹死んでんじゃねぇ─かよぉ!ほんとカッコつかねぇなぁ、角都よぉ」
「…………」

いのの【心転身の術】で乗っ取られていた時は静かだったのに、自由になった途端煩い飛段に、角都は眉を顰めた。
気を取り直して、カカシと再不斬…特に賞金首である鬼人へ顔を向ける。

「飛段、お前は下がってろ。ここは俺がやる」
「待て待て…さっきからずっと好き勝手にやられっぱなしでイライラしてんだ」

いのの【心転身の術】で自分の身体を勝手に使われていた飛段が角都の言い分に反論する。
素直に自分の言うことを聞かない相方をチラリ、と一瞥した角都は諦めたように「…好きにしろ」と嘆息した。

「だが、あの鬼人の賞金も心臓も俺が貰うぞ」
「それこそ好きにしろよ」

好き勝手に話す不死コンビに、それまで静観していた再不斬も流石に青筋を立てた。

「本人の前でよくもまぁ、ほざくものだ。二兎を追う者は一兎をも得ず
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