第2部
テドン
新たなる旅路
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んは、近くにいる船員に私たちの案内を任せると、甲板の右手にある船長室へと入っていった。
「客室はこちらになります」
船員に案内され、甲板の下にある階段を降りると、船の向こう側まで続く廊下があり、その両側には、客室と思われるいくつもの扉が並んでいた。
「この階はすべて客室となっておりますので、皆さんご自由にお使いください」
「あの、ほかの船員さんたちはどこで寝るんですか?」
「この下の階に船員専用の部屋があります。我々は、そこで寝泊まりしてますので、ご安心ください」
私の問いに、気兼ねなく答えてくれる年若い船員さんは、案内を終えお礼を言うと、すぐに持ち場についた。
どの部屋にしようかなと考えていると、ユウリがいないことに気が付いた。どこの部屋がいいか聞きたかったのですぐに彼を探したが、客室には誰もいなかった。
仕方ないので甲板に出てみると、船首の方で空を眺めているユウリの姿があった。
「ユウリ! いつのまに外に出てたの?」
「お前がくだらない質問をしている間だ」
くだらないって……。これから一緒に生活するようなものなんだし、船員さんのことだって気になるじゃない。
いちいち反応していても身が持たないので、スルーする。
「何してたの?」
「このあたりの海にいる魔物はどんな種類なのか気になってな。いくら機動力の早い船とはいえ、急に魔物に襲撃される可能性もないとは言えないからな」
そういいながら、海面をじっと見つめるユウリ。私もそれに倣って目を凝らしてみてみるが、見えてくるのは波か魚の影ばかり。
「本当に魔物なんているの?」
「バカか。ここにいて見えるくらいの距離なら、すでに襲ってきてるだろ」
「じゃあなんで見てるの?」
はあ、と大げさにため息をつくユウリ。
「見るのは魔物の影だけじゃない。潮目や風向き、魔物が餌としている魚の種類とか、いろいろあるだろ」
「ふうん。そんなにあるんだ」
「何他人事みたいに言ってるんだ。この際いい機会だ。俺が海の魔物について一から教えてやる」
「ええっ!? せっかく船に乗ったばかりなんだし、ゆっくりしようよ〜」
「そんな甘ったれた根性だからいつまでたっても足手まといのままなんだ。いいから来い」
私の態度にあきれ返ったのか、ユウリは強引に私の手を引くと、わざわざ場所を変えて海の魔物とは何たるかをレクチャーしてくれた。
海の魔物の生態、習性、何を好み何が苦手か、魔物が近づいてくるときの海の様子など、その情報量の多さにどっと疲れが出るほどだった。そもそもユウリは実際に行ったことのない場所でも、本か何かで知識を得ているのか、地元の人でも知らないような情報を持っている。私たちの話に聞き耳を立てていた船員の一人が、ユウリのあまりの博識ぶりに声を上げて驚いたほどだ。
「ユウリさん
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