天界の掟
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そうだな」
「えぇ、早いとこ引き上げましょ」
しかし、そんなこちらを一瞥すると距離を取り始める二人。妙な違和感に襲われていると、目の前の少女が真っ先に動いた。
「天竜の・・・」
見た目からは想像できない動きを見せるウェンディ。わずかな隙に距離を詰められた相手は目を見開いていた。
「翼?!!」
ドラゴンの翼に見立てた風で相手を撃ちにいくウェンディ。魔力も成長していることもあり威力は申し分ない。しかし・・・
「危ね!!」
男はそれを片腕でガードし、あっさりと防いでしまう。
「え・・・」
「ヤバい!!」
あっさりと自身の技を止められたことに驚いているウェンディ。そして俺は、これは反撃されると思い無理矢理身体を動かして走り出す。
「とりあえず寝ててくれ」
一瞬の隙をついてウェンディの首元にチョップをしようとする男。俺はそれを防ぐために二人と間に割って入る。
「おっと」
かなりギリギリだったので、正直相手のそれを防げるとは思ってなかった。少しでも邪魔できればぐらいの気持ちでいたのに、男は突然手を止めると、慌てたように距離を取る。
「大丈夫?ウェンディ」
「うん。ありがとう、シリル」
とりあえずは大丈夫そうかな?と思ったけど、どうにも違和感も拭えないし、どうしたものかと頭を悩ませる。
「おい、どうする?」
「ん〜・・・どうしよっかな?」
挟み撃ちにされている状況。相手に動かれても、後ろに仲間がいるから迂闊には動けない。それなのに、なぜか相手はなかなか動きを見せないでいる。
「おい!!さっきからなんなんだよ!!」
微妙な距離感を持たれている上にこちらに仕掛けてくる気配のない相手に思わず声をあげる。すると、男は数秒の沈黙の後、またしても訳のわからないことを言い出した。
「俺たちはお前とは戦えないんだよ、チビッ子」
「戦えない?」
その言葉の意味が全くわからずウェンディと目を合わせ、首を傾げる。それにそもそも、ナツさんたちが倒されている時点で、戦っているような気がするのだが・・・
「別世界の天使同士は戦えない。それが全ての世界を守るための天界の掟だ」
「え・・・天使?」
ずいぶんと久しぶりに聞いた単語に思わず額に汗を浮かべる。それを見た男女はようやくわかったのかと、深いタメ息をついた。
「俺たちはお前の母親と同じ天界の使いだ。天使の子よ」
予想できるはずもなかった敵の正体に思わず固まる。想定を遥かに越えてくる大きな敵に、俺とウェンディは唖然とすることしかできなかった。
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