第二章
[8]前話
「女の子はパンチョ、男の子はブーっていうんだ」
「そうなんだな」
「パンチョは発作持ちで」
それでというのだ。
「目が離せないんだ」
「大変かい?」
「まさか、家族だよ」
ステーファノは明るく答えた。
「僕はずっと一人だったんだ」
「今は結婚していると聞いてるけれど」
「彼女とね」
二人と二匹がいる部屋に長い波がかった黒髪に長い睫毛の黒い目の小柄でスタイルのいい彼女がいた。
「今はね」
「ヴァレンティーノよ」
彼女も名乗った。
「結婚して一緒になったのよ」
「彼女と結婚してパンチョが来てくれるまで」
それまではというのだ。
「若い頃に親が二人共いなくなって一人でここに来て」
「ハリウッドにだね」
「ずっと一人だったんだ」
「ああ、そういうことだね」
「そうだよ、けれどね」
「奥さんと出会って」
「パンチョと出会えたんだ、それで孤独じゃなくなったんだ」
だからだというのだ。
「もうね」
「寂しくなくなったんだ」
「そして彼も来てくれたんだ」
今度はブーも見た。
「元保護犬で家に来た時は怯えてたけれど」
「うちのブーマーと同じだね」
「さっきお話してくれたね」
「そうだね」
「けれど僕と妻が。特にパンチョが優しくして」
「家族になったんだね」
「そうなんだ、妻ともパンチョとも一緒で」
そしてというのだ。
「ブーともだよ」
「一緒にいるんだね」
「そうしていくよ、僕達はずっと一緒だよ」
「ワン」
「ワンワン」
ステーファノが語るその横でパンチョとブーは仲良く遊んでいた、二匹は誰が見ても幸せの中にあった。
その二匹も見て仕事も終えて家に帰ってジンはサマンサに話した。
「悲しい思いをしても」
「それでもよね」
「僕達そして他の子が真心で包み込んだら」
「心を開いてくれるわね」
「人間もそうでね」
「犬もよね」
「それが犬の心だよ」
こう妻に言うのだった。
「そのこと覚えておこうね」
「そうね、じゃあ今からね」
「あの子達の散歩に行こう」
妻に笑顔で言ってだった。
夫婦で犬の散歩に出た、そこには当然ブーマーもいた。怯えていた彼はもうそれからは解放されてていた。夫婦そして強大になった犬達と一緒にいる彼は幸せの中にいた。
これが犬の心 完
2021・7・21
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ