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幻想甲虫録
幕間1:役立つ時は唐突にやって来る
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表情をする霖之助だが、そんな彼に和長は全く気にしない。


和長「ねえシグルド、これちょうだい!ひとつだけでいいから!」

シグルド「無理。頼まれても売れないもんはある。第一、君は霖之助と働いてる虫だろ?」


あっさりと断られた。それでも技を欲しがる和長の気持ちは変わらない。


和長「霖之助!お金用意して!この技欲しい!!」

シグルド「いや、話聞いてましたぁ!?売れないし曰くつきだって言ってんじゃん!」


霖之助もカードを手にすると、興味深げな目で見た。そしてこう問う。


霖之助「なるほど……いかにも危険な代物だね。仮に売ってくれるとしたらいくらだい?」

シグルド「仮に、ねぇ……うーん、そうだなぁ……………合計でだいたい800万以上80億以下かな?」

和長「高スギィ!!?」


なんという高額。思わず机から転落し、背中を強打してしまった。


シグルド「だってしょうがねぇだろ。森を滅ぼすかもしれねぇし、俺たち虫どころか人妖問わず殺しまくるかもしれねぇし」

和長「う、売る気ゼロですか……?」

シグルド「当たり前だ。そもそも仕入れた俺でも使えそうにねぇし、お前だって使えそうにねぇだろ?下手すりゃ幻想郷滅んじまうぞ」

???「へー、ちょっと見せてよ」

シグルド「まあ見るだけならいいが」


技に興味を持った客人らしきクワガタがいつの間にか香霖堂に店内にいた。
そのクワガタは霖之助と同じくミーティアスマッシュとシュンゴクケンのカードを興味深そうに見る。


???「あのアダーが求めてたダゲキ技ねぇ……」

シグルド「だがそれは曰くつきだぜ?果たしてあんたに使いこなせるかどうか―――――」


客人と話すシグルドに目を向けた霖之助と和長の目つきが突然変わった。
デストロイヤーが言っていた泥棒クワガタ。シアンのグランディス。イーストシーだった。


霖之助「ねえシグルド、そいつって………」

シグルド「ん?どうかしたか?」

和長「デストロイヤーさんが言ってたあの虫……」

シグルド「…………あ、鈴奈庵のお嬢ちゃんが言ってたシアンの虫……って、あ゛ぁ!?」


さりげなく現れたイーストシー。声をかけた霖之助に顔を向けて目を放した隙にミーティアスマッシュとシュンゴクケンのカードを奪っていた。
気づいた時にはすでにカードを持ったイーストシーがそのまま窓から飛び立って逃げようとしていた。


イーストシー「おっと、バレちゃったみたいだね。せっかく手に入れたところ悪いけど、この技僕がいただくよ」

シグルド「いつの間に取ったんだ!?曰くつきだから売れないってのに!それ返せ!!」

和長「シグルドさん!これ、ナマコの出番
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