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幻想甲虫録
魔王VS救世主
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。これでとどめを―――――」


その時、どこからともなく羽音が聞こえてきた。羽音を聞いたゲイツはとどめをさす手を止め、空を見上げる。
羽音を聞いたのは正邪とソウゴと霊夢も同じだった。だがソウゴと霊夢はどこか似たような展開だと感じていた。『まさか青太郎みたく何かに操られた虫が来たのか?』と。


ゲイツ「興冷めな………誰だ一体?」

霊夢「ギルティ?じゃないな………ヘルクレス?」


ゲイツとソウゴの間に割って入ったのは前翅以外体が白いヘルクレスオオカブト。右目は何者かに潰されたのか、眼帯をつけていた。


ゲイツ「貴様、誰だ?」

白いヘルクレス「我が名はヘルクス、強者を求める甲虫なり」

正邪「チッ、ここに来て邪魔が入ったか……ゲイツ、撤退だ!」

ゲイツ「撤退だと!?ふざけるな!!あと少しで魔王を仕留めることができるんだぞ!?それを見逃せっていうのか!!」

ヘルクス「ほう、ゲイツといったな。オオクワガタよ。ならば私が相手になるぞ?ソウゴと戦うお前の気から………強者の雰囲気を持っているようだが?」


ヘルクスと名乗る甲虫はまるでソウゴを守るような形にも見える。
健康な左目で睨みつけるヘルクス。その目はやたらと威圧感があり、さすがのゲイツと正邪も少し後ずさってしまうほどだった。


ゲイツ「…………チッ、命拾いしたなソウゴ。今日の勝負はお預けだ。次に会ったその時は今度こそ殺してやる」

正邪「っつうわけで……あばよ〜とっつぁ〜ん!!」

霊夢「おいコラァァァァァ!!!!だぁれがとっつぁんじゃァァァァァァァァァァ!!!!私は巫女だァァァァアアアァァアアァァァアァァァァァァアアァ!!!!」


博麗神社に響き渡る霊夢の怒号など聞くわけがない。正邪は完全に無視し、ゲイツの背中に乗って飛び去っていくのを見つめるしかなかった。
しかし、ゲイツの心境は呆れていた。


ゲイツ(正邪ェ……お前も女だが女に向かってとっつぁんはないだろ……)


ゲイツと正邪が飛び去っていくのを黙って見つめていたヘルクスだったが、ボロボロのソウゴに目を向けた。先ほどまで怒鳴り散らしていた霊夢もすぐにソウゴに駆け寄る。


霊夢「ていうかソウゴ、大丈夫?」

ヘルクス(やはりな………私が来なければ今頃こいつは………)

ソウゴ「霊夢…俺の首ちゃんと繋がってる?」


何しろギコギコスラッシュを食らったのだ、下手をすれば本当に切断されかねなかった。そう思うと全身に寒気が走り、鳥肌が立つ。


霊夢「繋がってるけど……あんた結構ボロボロじゃん……」

ソウゴ「君の夢想封印もすごかったけどね………」

ヘルクス「……それでお前が『甲虫の王者』にして『2代目ムシキング』になる
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