ボートに乗ろう
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「ボート乗り場があるよ!」
ピエロを広場まで送り届けたハルトが戻ってきたとき、響のそんな声が聞こえてきた。
「真司。今どういう状況?」
「お? 戻ったかハルト。……お前飲み物買ってきたんじゃないのか?」
真司が、ハルトの手元を見下ろしながら言った。
「コネクトの魔法で送ったよ? なかった?」
ハルトが魔法陣の出口として意識したレジャーシートを指さす。確かにハルトがコンビニで買ってきたビニール袋があったが、その中に入っている容器は、全て空になっていた。
「あれ!?」
「おい、お前飲み終わってから来たのかよ!」
「俺そんなに性格悪くないよ!」
「よう。喉が渇いてたからな。頂いたぜ」
そう言ったのは、レジャーシートに腰を下ろしている男性。ワイルドな顔付きの青年で、黄銅色のコートを羽織っている。
さきほど、「今日は大学で来られない」と連絡してきた多田コウスケその人だった。
「いやあ、大学の最終授業もなかなかに骨だったからな。いいリフレッシュに……」
「お前かコウスケえええええええええ!」
言い終わらぬうちに、ハルトはコウスケへ跳び蹴り(生身でストライクウィザードに匹敵する威力)を放つ。芝生をバウンドしたコウスケは、そのまま芝生に顔を埋め込ませて止まった。
「何しやがる! 殺す気か!」
「生きていたか」
「やる気かハルトてめえ!」
「俺がみんなのために買ってきたものを全部で一人で飲むのが悪い!」
「上等だハルトォ! 一回テメエとは白黒つけたかったんだ!」
「どうどう!」
顔を突き合わせるハルトとコウスケに、真司が割り込んだ。
「それより、ほら。皆、ボートに行こうって話になってるぜ? 俺たちも行こうぜ」
「ボート!?」
コウスケが勢いよく振り向く。見れば、ここにいるメンバー以外は、皆船着き場に集まっていた。
「折角ボートあるし、人も少ないしで、乗っていこうってことになったんだよ。ほら、二人とも行こうぜ」
「ボートか……レースでもするか?」
「うん、気分ぶち壊しだね」
コウスケの言葉にツッコミを入れて、ハルトは足を船着き場に向ける。
「早く行こう。もうパン食べ終わってるんでしょ?」
「ああ」
「はあ? パンもうねえのかよ!?」
「お前はその分飲み物飲んでいたんだからいいでしょ? あと、後でお金返してよね」
「いやおいハルト! オレの扱いひどくねえか!?」
「気のせいだよ」
憤慨するコウスケを無視して、先導する真司に続くハルト。
近づくと、ココアが「みんなで乗ろうよ!」と呼び掛けていた。
「あ、コウスケさん来れたんだ!」
響がにっとした笑顔をコウスケに見せる。
「あれ? でもなんでそんなにボロ
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