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Fate/WizarDragonknight
ボートに乗ろう
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木に最初にタッチした人が勝ちってことにしよう?」
「あれか……」

 ハルトが目を細めた。
 向こう岸。中々の広さを誇る見滝原公園の湖は、真ん中を突っ切るだけでもかなりの距離が予想できた。
 そして。

『レディー……ゴー!』

 チノの腹話術が、スタートの合図となった。

 皆でボートに乗った直後、目を覚ましたコウスケが「オレも乗りたかったあああああああああ!」と血涙を流したのはまた別の話。



 ボートに乗った彼らを見送り。
 白と黒のピエロは、にやりと笑みを浮かべた。

「ああ……甘美な……劣等感」

 ピエロは手に持った巨大なペロペロキャンディを舐めながら、彼らのボートが離陸していくのを眺めている。

「彼女もマスターか……ちなみに、サーヴァントは一体どういう条件で召喚されるのかな?」
『色々あるよ』

 そう、ピエロに答えるのは、白い小動物の形をした生物。ピエロの左腕に乗るそれは、ところどころにピンクの模様が入っているそれは、顔を一切動かさずにピエロと会話をしていた。

『一番多いのは、召喚の呪文だね。これを唱えれば一発でできるよ』
「へえ……他には?」
『令呪を使って無理矢理呼び出したり、触媒を使ったり。ああ、あとこの詠唱に特定の文言を加えれば、クラスを限定できるよ』

 小動物___聖杯戦争の監督役、キュゥべえの言葉に、ピエロはペロっとキャンディを味わう。

「つまり、今彼女が召喚することは……」
『早々あり得ないだろうね』
「ほう……」

 やがてピエロは、キャンディをかみ砕く。口の中で音を立てながら飲み込み、息を吐いた。

「ならば……次のゲームを、考えてみようかな?」

 ピエロは、静かに少女___紗夜を見つめていた。
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