ボートに乗ろう
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ボロに?」
「聞くな」
「君は……」
ハルトは、さっきまでいなかったもう一人の少女の姿に気が付く。
可愛いというよりも、綺麗という印象が強い少女。
以前、見滝原中央駅で大道芸をしていた時にであったことがすぐに思い出せたのは、あの「るんって来た」と言っていた妹の存在故だろう。
「あ、ハルトさん! こちら、氷川紗夜ちゃん! 以前、お姉ちゃんを迎えに行ったときに会ったことあるよね?」
「ああ。よろしくね。俺は松菜ハルト」
「多田コウスケだ。よろしく、カワイ子ちゃん!」
ハルトを飛び越えて、コウスケが紗夜に接近する。その手を握り、跪いている。
「綺麗な人だな……なあ、よかったらこの後食事にでもッ!?」
語尾が妙に上擦った。
と思えば、コウスケの鳩尾に、響の肘が炸裂していた。
「はーい、言ってることぜんっぜんわかりません!」
「響……お前、結構いい腕してんじゃねえか……」
その言葉を最後に、ガクッと気絶したコウスケは響に引っ張られていった。
「それじゃあ、それなら、くじ引きで別れて競争するってのは?」
と、モカが提案した。
だが。ざっとメンバーを見渡して、ハルトは言った。
「でもさあ。響ちゃんがコウスケを気絶させちゃったから、一人余るよ。九人だと」
「そもそも、私は乗るとは言っていません」
紗夜はそう言って、去ろうとする。
「失礼しま……」
「お姉ちゃん見つけた!」
別れの挨拶を紗夜が言い終える前に、元気な声が飛んできた。
すると、紗夜は頭を抑える。頭痛に苛まれるように呟いた。
「ああ……日菜の声が聞こえる……」
ふらついたような足取りで、紗夜はそちらを向く。
少し離れた、見滝原公園の遊歩道。そこから猛ダッシュで湖まで走ってきたのは、紗夜と同じ顔をした少女だった。だが、紗夜とは真逆にボブカットに揃った髪をしており、明るい顔をしている。紗夜が綺麗というイメージならば、彼女は可愛いという言葉が相応しい。
以前、名前も聞いた。日菜という名前を、ハルトは記憶から掘り起こす。
「もう! お姉ちゃん! 朝からいないし、連絡しても返事くれないし、どこで何をしていたの!? もう心配したんだからああああああああ!」
日菜は、紗夜の前で両手をぶんぶん振り回し、やがてその背後のココアたちに気付く。
「あれ? お姉ちゃん、もしかして友達?」
「違うわ。私は……」
「へえ! 初めまして! 私、氷川日菜!」
「氷川日菜って……」
その名前に、チノが目を輝かせた。
「もしかして、パステルパレットの、氷川日菜さんですか?」
「うんうん! 知ってるの? 嬉しい! あ、お姉ちゃん、もしかして皆でボートに乗るの? すご
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