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『外伝:青』崩壊した世界に来たけど僕はここでもお栄ちゃんにいじめられる
☆マスターが犬で、サーヴァントが飼い主の話
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おれがマイと出会って早一週間。
時が経つのは本当に早いもんだ。

「で、こことここの挿絵だったか。描いといたヨ。」
「さすがですね北斎先生。仕事が早い…!」

んで、おれが今いるのは式部殿と葵殿がいる図書館。
小説の挿絵を頼まれたもんだから納品しに来たところだ。

まぁそういうのにも、ちょいとした理由がある。

「先生はいらねぇヨ。おれァただ描きたいだけなのと約束守ってるだけだからナ。」

少し前の話だ。
マイと再開する前、この二人とはある約束をしていた。
お供してくれた例だ、絵の一枚くらいは描いてやろうか。
と言ったのだが葵殿は何か閃いたような顔をし、こう言ったのだ。

もし、あなたのマスターが見つかれば、専属絵師になってくれませんかと。

なんでもその時、書いた本に挿絵を挟もうと思っていたらしいが誰にも頼めなかったらしい。
だからおれに頼んだんだと。
さっきも言った通りおれは絵が描ければ何だっていい。
喜んで承諾した。

そして今、というわけだ。

「注文にはなかったが、場面が気に入ったもんでここの挿絵も描いたんだ…どうだい?」
「よ、喜んで採用させていただきます!」

昔、とと様も読み本の挿絵を描いたことがあった。
んまぁとと様はとと様で自由人だから、注文通りに描かず作家と喧嘩になったらしいが。
さて、仕事は終わった。戻るとしよう。

「あ、北斎さん。」
「うん?」

絵をあずけ、さぁ帰ろうと椅子から立ち上がった時葵殿が声をかけてきた。

「良かったらお茶しません?もう少ししたら三笠から紫式部も帰ってくるんで…。」
「あぁ、悪い、気持ちだけ受け取っとくヨ。」

お礼も込めてお茶菓子なんかを用意してくれたみたいだがここは断っておく。
本当に申し訳ねぇとは思うが

「家に犬が待ってんのサ。いちはやくおれの帰りを。」
「ああ、わんちゃんですか…。」

そう言うと葵殿は納得したような顔をし、手を振って別れを告げた。

「…。」

図書館から出ていき、一人きりになる葵殿。
しかし、ある疑問が浮かぶ

「北斎さん…犬飼ってた…?」


?

「おーい、帰ったぞー。」

自宅へと帰ってきた。
横浜からここはだいぶ時間がかかり、マゾ犬もさぞ恋しがっていただろうと思いながら戸を開ければ案の定

「わん!わんわん!」
「おーよしよし、」

わんわん鳴きながらおれの元へやってきた。
やや乱暴にくしゃくしゃと頭を撫でてやると嬉しそうにする。

「はっ、わうっ!わんわん!」
「わかったわかった。遅くなったことは謝るヨ。」

さて、
ここでおれの飼っている犬とはなんぞやという問いだが、簡潔に答えよう。
犬と呼んでいるが犬じゃない、
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