第二章
[8]前話
「ワンワン」
「ワンッ」
「そっくりでしかも仲がいいですね」
「兄妹で兄がカジュ、妹がカスターニャっていうんです」
牧場のオーナーの息子が言ってきた。
「実は元は野良犬で妹の方がひき逃げされて」
「怪我をしたんですか」
「それで倒れていたんですが兄の方がずっと心配そうに寄り添っていて」
そしてというのだ。
「連絡を受けた保護施設の人達が妹を助けたんですが兄はずっと心配そうに見ていたんで」
「お兄さんの方もですね」
「保護されました」
そうなったというのだ。
「無事に」
「そうでしたか」
「それでカスターニャが治療を受けている間も」
「お兄さん、カジュでしたね」
「はい、ずっと付き添っていました」
「そうでしたか」
「とても優しい子ですよ、カスターニャも」
妹の方もというのだ。
「牧場の皆に」
「優しいですか」
「はい」
とてもというのだ。
「いい子達です、それでカスターニャが回復して」
「里親をですね」
「募集したのを見て」
「こちらで、ですか」
「迎えました、牧羊犬としても働いてもらっています」
家族であると共にというのだ。
「いい子達ですよ、優しいですし」
「それは何よりですね」
「ええ、ずっと一緒にいたいです」
こうドミートゥフに言うのだった、ドミートゥフはその話も聞いてだった。
そのうえで仕事をしてアメリカに戻った、そして今もトミーと一緒に遊んでいるバディを見て彼に
言った。
「犬の頭の良さと優しさ、人間も見習わないとな」
「そうよね」
「それはね」
家族も彼の言葉に頷いた、そしてだった。
家の仕事に戻った、そこで見る犬達もやはり賢く優しかった。彼はそれこそが犬なのだとあらためてわかって人間もと思うのだった。
犬はとても優しい 完
２０２１・７・１８
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