第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「あんたのそうしたところにね」
「ううん、そうなのね」
「もう少し鼻を低くしたらどう?」
「鼻?」
「日本じゃプライドが高いことを鼻が高いっていうらしいのよ」
この娘は大学で日本文学を学んでいる、それで日本のことに詳しい。
「天狗になってるってね」
「天狗って日本の妖怪よね」
「そう、凄く強いね」
そうした妖怪だというのだ。
「その妖怪みたいだっていうのよ」
「ううん、私は天狗?」
「そう言うと天狗っていうかね」
「違うのね」
「家鴨ね」
今度はこの鳥だった、台湾でもよく食べる。
「あんたはね」
「家鴨だったの、私」
「鴨子みたいよ、実際」
何か話がおかしなことになってきていると思った、それで彼女に顔を向けて怪訝な顔になってこう尋ねた。
「私が家鴨、それも鴨子って」
「鴨子っていつも顔上げてるわね」
「ええ、偉そうな感じでね」
「それを見てたらね」
「私は鴨子なの」
「変にプライドが高くて意地っ張りで素直じゃなくて」
そうしたところがだというのだ。
「あんた本当に鴨子みたいよ」
「ううん、何か微妙ね」
「家鴨は美味しいけれどね」
私も好きだ、実際によく食べる。
「それでもそれみたいっていうのは」
「あまりいい気がしないでしょ」
「結構ね」
実際にこう返す。
「家鴨って言われたら」
「そうでしょ。それじゃあね」
「あらためろっていうのね、彼への態度」
「さもないと泣きを見るのはあんたよ」
「私なのね」
「幾らいい人でも」
それでもだった。
「そのうち愛想尽かされるわよ」
「それで失恋するのね」
「そんなの嫌でしょ」
私に言ってくる。
「だったらいいわね」
「ええ、わかったわ」
「まずは素直になることよ」
それが第一だというのだ。
「わかったわね」
「素直にならないと自分が」
「素直ってのは美徳よ」
「それで変なプライドを張らないことも」
「いいことだからね」
「じゃあ明日から」
「急には無理にしてもね」
それでもだというのだ。
「少しずつ変えていきなさい、いいわね」
「具体的にはどうすればいいかしら」
「全く。わかってないのね」
彼女は私の今の言葉にはやれやれといった顔になって返した。溜息はなかったけれど呆れた調子で私に言ってきた。
「何処までも」
「何処までもって」
「具体的に言うわね、その具体的ね」
「うん、それは」
「真面目に言葉を受けるの」
そうしろというのだ。
「彼のお誘いを受けるの」
「そうすればいいのね」
「そう、今は殆ど受けてないでしょ」
その通りだった、私は彼の誘いも好意も全部突っぱねている。贈りものも何もかもをそうしてきているのが今だ。
けれどそれをだというのだ。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ