わしのために争わないで〜
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苦笑しながら説明した。
「どっちのパンがチノちゃんにとって美味しいかなってことで、競うように作っててさ。もう、本当にすごい量だよ」
「でも、これは流石に私でも食べきれないよ」
そう言いながら、可奈美は手頃なパンを一つ口にした。柔らかい歯応えと、太陽のような温かい香りで、咀嚼が捗る。
「あ、でもこれおいしい……!」
「まあ、たった五人の量じゃないからね。ココアちゃんの友達は駄目だったみたいだけど、俺もとりあえず、援軍も呼んでおいた」
「援軍?」
可奈美の疑問、その答えは十分とかからずに帰ってきた。
二人の見知った顔が、こちらに走ってきていたのだ。
「可奈美ちゃん! あけおめ!」
そう言いながら可奈美に抱きつく少女。
赤毛のポニーテールが特徴で、可奈美に負けず劣らずの鍛えられた体の持ち主。聖杯戦争における可奈美のサーヴァント、セイヴァー。結城友奈がにっこりと笑顔で可奈美を見上げる。
「友奈ちゃん!」
可奈美は抱き留めた友奈の頭を撫でながら、彼女の後ろから「よお」と声をかける青年にも目を配った。
水色のダウンジャケットを羽織った青年。長いウェーブがかった茶髪の彼は、軽そうな外見とは裏腹に人懐っこい笑顔を浮かべていた。
「ハルト、来たぜ」
「待ってたよ真司」
ハルトと挨拶を交わす彼こそ、ハルトのサーヴァント。可奈美にとって友奈が令呪で繋がっているように、彼もまたハルトと令呪で繋がっている。ライダーのサーヴァント、城戸真司。
「いきなり呼びつけてごめんね。ちょっと、パンを作りすぎちゃってさ」
ハルトがそう言いながらパンの籠を指している。
その膨大な量に驚きながら、その籠を持っているモカに真司は「どうも」と頭を下げた。
「あれ? よく見たら……ココアちゃん……? なんか、雰囲気変わった?」
「ふふ、妹がお世話になってます。姉のモカです」
モカは柔らかい物腰で真司に対応した。
すると、友奈もまた可奈美から離れ、真司に並ぶ。
「ココアちゃんのお姉さん!? 確かにそっくり」
「よろしくね。えっと……」
「あ、私結城友奈です! それでこっちが……」
「は、初めまして! 城戸しんじぇぶ!」
真司が名乗りの最中に舌を噛んだ。
「うわーっ! 真司さん噛み噛みだ!」
「だだだ、だってよ友奈ちゃん! こんな……こんな、美人なお姉さん、俺会ったことないからさあ」
これ以上ないくらいに鼻の下を伸ばしている。
真司の姿に微笑みながら、ハルトはスマホを見下ろす。
「後二人……」
そんな彼の姿に可奈美は首を傾げた。
「後二人ってことは、響ちゃんたち?」
「なんだけどね。今忙しい
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