暁 〜小説投稿サイト〜
艶やかな天使の血族
3部 公人と私人
18話 トライアングルな夜
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 とうとう人類史上最悪の戦争が始まった。
 私はそれをテレビモニターで眺めていた。
 あのサイド1が壊滅したという報道を観て、唐突にあの天使の血族達を思い出した。
 ミカエル社長達は生きているのだろうか?
 まさか、エリオットさんはミカエル社長やガブリエルさん、アズラエルさんまで、殺したんじゃないかと思うと胸が騒ぐ。
 身内の人間には絶対に手を挙げるような、そんな人じゃないと私は思うけど、あの家では従兄弟の仲は最悪だった。もしかしたらエリオットさんは……。
 いや……やめよう。これ以上、悪い想像をするのは。あの嫌な暮らしから連れて来てくれた人を悪く想うのはやめよう。少なくともエリオットさんは気持ちいいセックスを教えてくれた。
 私の細かい理性を壊そうと一緒にしてくれた。実の娘をきちんと可愛がるあの人を見てきた。笑顔で家族と暮らすその人を見てきたんだ。
 エリオットさんがこの家から出て何日間が経ったのかな?
 もう1ヶ月近く見てないような気がする。
 あれから1週間戦争と、ルウム戦役が起きて、それから約一ヶ月。
 ピンポーン。
 家のインターホンが鳴った。
 ドアの外にはエリオットさんが久しぶりに帰って来てくれた。
 少し疲労の色を見せて、でも概ねは健康に見える。服は軍服を脱いで背広姿で帰ってきた。

「おかえりなさい、エリオット」
「やっと軍から暇を貰えたよ。ようやく休める。ここの所、ずっと現場だからだったからね……やれやれ」
「おかえりなさい……エリオットさん」
「久しぶり。水菜。元気だったかな?」
「私は大丈夫です。とうとう始まりましたね……戦争」
「ああ…。でも、あいつらなら平気だよ。サイド1に攻撃される前に避難しているだろうし、そうそう簡単にくたばる奴等じゃないさ」
「何日間くらい休めそう?」
「思い切って1週間の休みを上申したら、簡単に許可降りたよ。この1週間は休めるかな」
「そう。今夜はカレーライスよ。久しぶりでしょう?」
「嬉しいね」

 そうして、夕食の時間が過ぎて、夜の21時になる。
 だいぶ軍での仕事に疲れているエリオットは枕に香るふとした香りに気が付く。

「なんだろう?この香り…休まるな。ホッとする……」
「ラベンダーの香りね。私も最近眠れなくてラベンダーの精油を垂らしているのよ」
「なるほどね……。俺の嗅覚はまだ生きているかな。安心した……」 
「何か精神的にイライラしてない?エリオット?」 
「……ん?」 
「ラベンダーの香りが欲しい時って疲れていたり、イライラしていたり、無意識で香りを欲しがるのよ?」
「疲れ……か。ジオン公国軍で現場の指揮を執る時が多かったからな。精神的に疲れているけど。困った事に身体は疲れてないんだな」
「……。ねぇ?だったら、ワガママ
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