暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga30-B遥かに永き旅路の果てへ〜Have a good journey〜
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。こんな事してる暇なんてないのに、ほんの少しだけルシルの記憶の残るお別れの挨拶の仕方、その順番を争おうとした。ルシルだけでじゃなくて首を傾げてるセラティナにも申し訳ないよ。
『イリス。ちょっとだけ時間を私にくれないかな・・・?』
『シャルロッテ様!』
マリアさんと一緒にルシルの真実を語ってくれたシャルロッテ様は、“テスタメント”になる前からルシルと因縁があって、なってからも最初はいがみ合い、けど徐々に親しくなって、最後の方では恋をしてたお方だ。この中の誰よりもお別れの挨拶をしたいに違いない。
『どうかな? あ、ダメだったら・・・』
『いいえ! 今すぐにでも! あ、でも、わたしの分も時間を残していただければ・・・』
『もちろんだよ。軽く挨拶するだけだから、時間は掛からないよ』
『了解です。では、どうぞ』
目を閉じて、わたしの意識を水の中に沈めるようなイメージ。沈んでく中で、もう1人のわたし――シャルロッテ様と入れ替わる感じで、次の瞬間にはわたしは自分の中から外界を認識するようになる。
「私が先に挨拶をさせてもらうわね」
「っ! シャ――イリスと意識を代わったのか、シャル」
「うん。久しぶり、ルシル。あなたがアースガルドに帰る日がいよいよ来たのだから、1万年の相棒が挨拶しておかないと、ね」
シャルロッテ様の最初の一言で、わたしからシャルロッテ様に人格が代わったことに気付いたルシル。ウィンクしながら答えたシャルロッテ様がルシルの側に寄ると、彼の左頬に右手を添えた。
「過去の私が口を奪うわけにはいかないからね。私はこっちに愛と、これまでの感謝と、万感の思いを込めて伝えるよ」
そう言ってシャルロッテ様は、ルシルの右頬にキスをした。ルシルは一切抵抗せずにシャルロッテ様のキスを受け入れて、「ははは」って小さく笑い声をあげた。
「・・・正直、テスタメントとしての俺の最後を、君に見届けられることになろうとは思わなかったよ」
「そうだね。私も、人格を保ったまま、そしてルシルの居る次元世界に転生できるなんて思いもしなかった。さらに言えば、堕天使戦争の決戦を見ることも。だけど、嬉しくもあるの。私の最後を見届けてくれたあなたを、今度は私が見届けることが出来る今が、ここにあることを」
「始まりは敵同士で、テスタメントで戦友となり、そして今があると思うと、なんとも数奇な運命だろうか」
「本当にね〜♪・・・さてと。これ以上はイリスに申し訳ないから、私は下がることにするよ。ルシル。またどこかで逢えるといいね」
「・・・そうだな」
「さようならは言わない。またね、
私の初恋
(
ルシル
)
」
「ああ。またな、
俺の憧憬
(
シャル
)
」
最後にルシルは握手を交わしたシャルロッ
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