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結局、光喜と茜ちゃんは、高校の時の集まりの方に行くつもりだという。僕と慎二と絢、葵のメンバーになってしまった。美波と詩織は地元に帰ると言っていた。
式典は、11時からだったので、僕と慎二は会場の前で待っていたら、絢がやってきた。いつものように、小走りだ。ごく薄い青の白生地に織刺繍がしてあって、大きな牡丹だろう花を金糸と赤糸で飾ってある。襟元は紅色で、花模様の着物の中では、目立つ。
「だから 絢 いつも、そーやって走るなって 転ぶやろー」と、僕はいつものように言った。
「でも なんか 顔見ると、走ってしまうねん ちょっとでも待たせるの悪いなって」
「絢ちゃん 綺麗になったなぁ 着物のせいかな」と、慎二が言ったが、絢がなにか言おうとしたら、葵の姿が見えて、そっちに手を振っていた。
葵は、何人かに、手を小さく振りながら、こっちに来た。葵も、明るい紺地に上から下までの葵花の刺繍がしてある、目が覚めるような着物だった。葵は化粧していないけど、目鼻だちがハッキリしているので、おそらく、綺麗になるんだろうなと、僕は、思った。
「ごめんね 待った? 家の人に送ってもらったんだけど」
「いや 別に それより、あっちはいかないで良いの?」と、僕は聞いたけど
「いいの あんまり、仲良くしてなかったから」と、葵は素っ気なく言っていた。
少し、離れたところに、大勢のグループの中にスーツ姿の光喜が居た。何人かは、羽織袴の男も居る。そして、吉川すずりも。相変わらず、きれいだ。周りの女の子の中でも、ひときわ、めだつ存在だ。目元がハッキリしていて、唇も薄いせいだろうか。
会場への移動が始まった時、茜ちゃんが絢のそばにやってきて、「絢 後で 一緒に写真撮ってね」と言って、グループに合流していった。彼女は女子高だったので、女の子だけなんだが、僕も、びっくりした。学祭で見てから、あの時から、又、女っぽくなるのかと。あんな幼顔だったのに・・。
僕と慎二は、遠慮して後ろの方に座ったが、絢と葵は、ふたりで、前の方に行った。気まずいんだろうなと思っていたが、出てくるときには、笑顔で、なにか話し合っていた。言ってたように、茜ちゃんが、絢と一緒のところの写真を誰かに撮ってもらっていた。最後に、僕等みんなと、撮ってもらって
「ごめんね 今日は みんなとは、あんまり、会う機会が無いからね」とバイバイして行った。
市街地の居酒屋目指して、歩き始めて、絢は僕の腕を組んできた。後ろから、慎二と葵が並んで、付いてきているんだけど
「ねぇ 慎二 手つないでもらってもいい?」と葵が言っているのが聞こえた。
「おう 気づかんかった 葵 便所行って、手洗ったかぁー」
「あのねー 慎二こそ洗ったの」
「うん お互い様や」
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