暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga30-A遥かに永き旅路の果てへ〜Land of Sternberg〜
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スさん、アギトがそう言って感慨深げに屋敷を見上げました。無言のままのザフィーラも、目では懐かしがっていると判ります。そういう私も、知るはずのない屋敷や庭などの景色を見て、どこか懐かしい気持ちになっていた。
――おかえりなさい――
(え・・・?)
耳元で囁かれたようなか細い声ながらハッキリと耳に残る声。自然と庭の片隅に生えている大木へと目を向ける。幻視していると理解できる。それでも単純な幻とも言えない存在が、幹の寄り添っていた。
(エリーゼ卿・・・)
シュテルンベルク家の家宝である、エリーゼ卿やオーディン様――ルシルさん達が描かれた絵画の通りのお姿であるエリーゼ卿が、私を見て微笑んでいました。今の、おかえりなさいは、ひょっとしたらエリーゼ卿の・・・。まばたきの一瞬、視界が閉ざされた後、エリーゼ卿の方を見ると、そこにはもうそのお姿はなかった。
「トリシュ? 大丈夫?」
「イリス・・・? あぁ、うん、大丈夫。行こう」
アイリを先頭にみんなが屋敷の玄関扉に向かって歩き始めていて、樹を見つめたまま足を動かさなかった私を心配して、イリスが声を掛けてくれたみたい。イリスを安心させるために笑顔で答えた後、玄関扉を開けて待っていてくれているはやてにも、笑みを浮かべて頷いて見せた。イリスと一緒に駆け足ではやての元へ行き、一緒に玄関を潜った。
「内装も昔のまま・・・」
廊下に敷かれたレッドカーペット、壁に設けられた魔力燈、それに「おいトリシュ、コレ見てみろよ」と、ヴィータさんが壁に掛けられている額を見て言いました。そこには「コレ、失われていたはずの・・・」絵画がずらりと並んでいた。
「ルシル君がオーディンって名乗っていた頃の絵・・・?」
「わぁ♪ シグナムがドレスを着てるですよ!」
「シグナムお姉ちゃん、可愛い!」
「む!? み、見るな。それは無理やり着せられたもので・・・!」
「何よ。案外似合うじゃない」
「うん。シグナム、綺麗だよ」
「よしてくれ」
真っ赤なドレスで身を包み、キリッとした表情のシグナムさんのソロモデルの絵画。シャマル先生やアインスさん、ヴィータさんもそれぞれのドレス姿の絵画が飾られている。アイリの話によれば、マリアさんは当時のベルカを、ルシルさんをずっと見守っていたとのことで、一度は失われたこの屋敷や絵画などを一から元の姿に再生させることも出来たとのこと。
「あ! なぁ、アイリ! この絵ってさ! ルルとベディの描いたやつじゃね!? うっわー! 懐かしいな!」
「ルルとベディって、ルシル君とエリーゼちゃんの子どもよね?」
「ルシル君の・・・」
「子ども・・・」
「ルシルさん、私や兄様にとっては高祖父母・・・よりもっと昔の親族に
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