-亜空間-
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はしない。まるで、「もう戦いは止めよう」と語っているようだった。
スイムスイムはしばらく赤のヒューマノイドを睨んでいる。
やがて、赤のヒューマノイドは彼女から抵抗の意思が無くならないことを確認したのか、その手から槍を奪い取る。
「!?」
それには、スイムスイムも表情を見せる。目を大きく見開き、長槍を取り戻そうとした。
だが、それよりも先に赤のヒューマノイドは、長槍を上空へ放り投げる。さらに、続けて左右の手から電流を迸らせる。
「やめて……! やめて……!」
初めてあの子の声をまともに聞いた。そんな気さえする。
赤のヒューマノイドは、両手をL字型に交差する。すると、縦に構えた部分より、光の本流が発射された。
それは、スイムスイムの武器、ルーラーを一瞬で飲み込む。数回のバチバチという音を奏でさせたそれはやがて。
爆発し、消滅していった。
「あ……あ……ッ!」
得物を失った。その事実に、スイムスイムはショックを受けたようだった。目から涙を流しながら、分子の一つ残らず消滅した場所を見つめていた。
「ルーラー……ルーラー!」
やがてスイムスイムは泣き叫ぶ。紗夜の命を狙っていた時や、赤のヒューマノイドとの戦闘時はほとんど無表情を崩さなかったのに、今回はその面影もない。
表情を大きく崩し、表情筋を大きく動かし、涙と鼻水で顔をグチャグチャにする。やがて、少女は嗚咽、謎の空間に嘔吐する。
さっきまで自らの命を狙っていたスイムスイムだが、その慟哭の仕方には、紗夜も少し同情してしまった。
しばらく、赤のヒューマノイドもまた攻撃の手を止めていた。彼もまた、静かにスイムスイムの動きに注目していたのだった。
スイムスイムがようやく体を動かしたのは、彼女の涙が乾いたころだった。
ギラギラ光る目つきで赤のヒューマノイドを見つめ、告げた。
「あなたは許さない……」
もはや彼女の眼中に、紗夜はいない。
赤のヒューマノイドへ敵意の眼差しを向けながら、彼女の体はどんどん沈んでいった。
しばらくスイムスイムがいた地点を見ていた赤のヒューマノイドは、やがて右手を突き上げた。
すると、再びのオレンジの発光とともに、結界が消えていく。
すると、オレンジのヴェールは、やがて見覚えのある校舎の廊下となった。
「戻って……来た……?」
その安心のあまり、紗夜は尻餅をつく。
「た、助かった……」
これまでの生涯の中で、一番深いため息をつく。
紗夜はその後、赤のヒューマノイドを見つめた。
「あの、助けていただいて、ありがとうございます」
彼はしばらく紗夜を見返す。
深く頷くと、その姿は淡い光となっていった。やがてそれは消滅し。
高校制
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