暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga29アイリ・セインテスト〜Woman living in love〜
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あるし損害もあるということだね。マイスターの最優先目標である記憶を失わずにアースガルドへ帰還するために必要なこと。それはやっぱり「アイリを使って」ってことだから改めて伝える。

「アイリ」

「でねでね! 記憶が残ったままアースガルドに帰れたら、アイリをエインヘリヤルとして召喚して、それからアインスみたいに独立させてほしいの! そうしたらアイリは生き残っても死んでもマイスターと一緒に居られる! うわ、すごっ! アイリ天才! ねえねえ! それでいこう、そうしよう!」

「アイリ」

“エインヘリヤル”の目は、マイスターの声は、アイリのそんな天才的な発想すら受け入れないと物語ってた。アイリはまた震えだす声で「どうして!!」って叫んだ。

「受け入れてよ! みんなを忘れたくない、アイリを死なせたくない! 今の状況じゃどっちかを諦めるしかないじゃん! 両方取ろうとするからマイスターは苦しんでる! アイリだったらいいよ! いいんだよ! 確かにオリジナルのアイリは死んじゃうかもしれない! でも、それで少しでもガーデンベルグを救うことに繋がるならいいよ!」

そもそもアイリの命を使う“かもしれない”、だ。マイスターは使うって、失うって前提で考えてる。最後の決戦だもん。最悪のパターンを考えるのは当たり前。だけどそれらは確定した事案じゃない。アイリを喪わず、記憶を失わずに勝つかもしれない。ユニゾンしてても結局は問題なかったね〜ってなるかもしれない。と、“かもしれない”に雁字搦めになって、弱気になってるマイスターに最後の具申した。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」

「アイリの言いたいことは解る。俺は度が過ぎて臆病になっている。悪い事ばかりを考えていることくらい・・・。でもな、最後なんだ、これで本当に最後なんだよ。2万年と存在して、何度も心が折れかけ、いや折れたこともある。そんな地獄からようやく自由になれる。帰還か消滅かの瀬戸際だ」

「それは解ってるよ。でも恐れてるだけじゃ前に進めないってことはマイスターは知ってるでしょ。ねえ、怖がらないで、恐れないで。信じようよ。全部上手くいって、ハッピーエンドでマイスターの長い旅路が終わるって!」

「・・・・・・」

長い沈黙の後・・・

「・・・本局でマリアが魔力を奪取するまでの時間稼ぎが、俺、アイリ、エルフテの任務だ。そしてついさっき、アイリとエルフテはここベルカに戻らず、出頭するよう命じた。それは変わらない。ガーデンベルグとは俺ひとりで闘う。アイリ、エルフテは帰還不許可とする。もちろん、はやて達を連れて来るのもダメだ」

アイリの思いを全部聞いたうえでマイスターが出した答え。もう何を言ってもダメだってなんだって理解して、アイリは「ヤヴォール」って、ギュッと握り拳を作って歯噛みしつつ
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