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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga29アイリ・セインテスト〜Woman living in love〜
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れ」

「っ!!・・・アイリの融合騎としての存在意義を奪うつもり?」

「いたっ? いたたた! アイリ、折れる! 背骨が折れる・・・!」

記憶を守りたいって言うのに、その条件を満たすために必要なユニゾンをしないっていう矛盾に、アイリの怒りゲージはMAXに。“エインヘリヤル”の背中に回してる両腕に力を込めて、その体を締め上げてやる。アイリの背中をタップする“エインヘリヤル”に、少しだけ力を緩めて主張する余裕を与える。

「けほっ、けほっ。・・・違う、違うんだ。本当に真面目な、真剣な話だ」

その目、声、表情には真剣さしかなくて、アイリはバッと”エインヘリヤル”から離れて、直立不動で待機した。

「アイリとのユニゾンは確かに俺の目的のためには必要だ。しかし、2つある危険性は無視できない。1つはさっきも言ったように、アイリの命を使うかもしれないという問題。設計からしてロードの発動許可があって実行される機能だ」

「ロードからの一方的な許可による発動。試作型融合騎の尊厳を無視したクソみたいな機能だよね。マイスターの為なら喜んで差し出すけど、当時のロードが実行しなくて良かったよ」

アイリの当時のロードになったのは、イリュリア騎士団の一員のゲルト・ヴォルクステット。戦場投入前に行われてたユニゾン試験じゃアイリが適当に同調率を合わせてたから、技術部はゲルトとアイリを組ませた。本当に馬鹿な連中だったね。アイリの本気を調査しなかったんだから。だからアイリに体を乗っ取られて、シグナムに討たれたんだ。

「・・・そんなクソ機能を、窮地に陥った俺は思わず実行してしまうかもしれない。それが恐ろしくて仕方ない。今日まで命を懸けて一緒に戦ってくれた相棒を犠牲にする選択を取ってしまうのではないか?と・・・」

「別にいいのに」

「ダメだ。そしてもう1つ。アイリとユニゾンした状態で、この次元世界での記憶を失った場合。俺は確実に混乱するだろう。テスタメント時代の記憶をすべて失うと、俺の意識はフェンリルに封印される直前にまで戻るはずだ。・・・そんな状況でいきなりガーデンベルグとの闘いの中に放り出されるのは、リアンシェルトより弱いとはいえ十分に脅威なあの子の前で、あ、ミスしてしまった、なんて冗談では済まされない隙だ」

「・・・うん」

「さらに、自分の中にアイリという、見知らぬ少女が居る。記憶の無い俺にとってそれは、どんなレベルでの混乱になるか想像もつかない異常事態だ。前者の混乱は、救うべきエグリゴリであるガーデンベルグとの闘いということで、すぐに冷静さを取り戻せると思うんだ。しかし後者の混乱はそうはいかない。生まれる隙もどれほどのものか。間違いなく致命的になる」

「マイスターの言い分は理解したよ」

アイリとのユニゾンは恩恵も
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