暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga29アイリ・セインテスト〜Woman living in love〜
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いし、プライソンだってミミルが生み出さなくても誕生する世界線があり、クーデター事件も起きる世界線だっていくつもあったって、マリアが言ってた。
マリアは “エグリゴリ”を探し当てるために、最初の次元世界での契約後からずっとマイスターに黙って次元世界を巡ったそうだ。最弱の“テスタメント”ゆえの好き勝手。マイスターも知らない、アイリだけが教えてもらった話だ。だからその信ぴょう性は確かなもの。

「そうかもしれないが・・・」

「ああもう! マイスターにちょーっとイライラし始めたから、もうハッキリ言わせてもらうよ。いい?」

「あ、ああ、言ってくれ」

「マイスターに悪い事があるとすればそれは、逃げたこと、だよ。マイスターは悪い事してきたよ。後ろ暗い、後ろめたい、やましいことばっかだよ。でも、それでも逃げちゃダメだった。はやて達に、いろんな人にごめんなさいをして、協力してもらうべきだった。死を偽って、みんなに辛い思いをさせて泣かせて・・・。最低最悪の選択肢を選んだ。マイスターは、自分が傷つくのが嫌で台無しにした」

アイリの言葉に“エインヘリヤル”は俯いて、じっと耐えるように聞いてくれてる。ごめんね、でもこれは言っておかないと、マイスターはとことん自分を責め続けてダメになる気がする。そんな気持ちのまま、マイスターをアースガルドに帰すことなんて出来ない。

「だからさ、マイスター。今からでも遅くないよ。はやて達と顔を合わせて、ちゃんとごめんなさいして、そして協力してもらおう? でないと・・・独りぼっちのままで、帰ることになっちゃう」

本当ならアイリも、マイスターと一緒にアースガルドに行きたい。でも、行けない。アイリは現代に生きる融合騎。マイスターは過去に生きる人間。きっと、6千年以上も過去に戻っちゃうマイスターとはもう二度と逢えない。信じたくないし、認めたくないし、受け止めたくないけど、それがマイスターとマリアの見解だ。

「ありがとう、アイリ。俺を想って言ってくれたのは伝わったよ。だが、それを受け入れるわけにはいかない」

「どうして・・・?」

「俺が、最後まで俺であるため」

そう言ってアイリから目を逸らす“エインヘリヤル”を、「格好いいこと言ってるけど、それって逃げるつもりだよね?」ってジト目で睨みつける。つまりは逃げたりしたダメな自分を貫いて、格好悪いままで終わらせるって意味だ。“エインヘリヤル”は「容赦ないな。まぁ、仕方ないが」って苦笑した。ここで説得してもダメなら、向こうに着いた後でアイリから何かアクションするしか・・・。

「アイリ」

「ん?」

「お前のマイスターとして命令する。アイリ。エインヘリヤルである俺と本局へ赴き、作戦を完遂した後、ここベルカに戻ってくるな」

「・・・・・・は
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